PART 3
祈りの場を訪ねて

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西欧に行って「名所」なるものを見ようとすると、人工物では圧倒的にキリスト教関係が多くなります。あとはミュージアムですかね。パリは、古代いらいの古い都市ですので、商工業や文化のみならず宗教においても重要な役割を果たしてきました。市内には大小さまざまな宗教施設があります。もちろんほとんどがカトリック。今年は行っていませんが、モンマルトルの丘に建つサクレ・クール寺院(Basilique du Sacré Cœur de Montmartre)や北郊にあるサン・ドニ大聖堂(Cathédrale royale de Saint-Denis)なども一度は見ておきたいですね。

まずはおなじみノートルダム寺院(大聖堂 Cathédrale Notre Dame de Paris)。前述したように、私はカルチェ・ラタンを縦断してここに来るのを恒例にしています。いつもこのアングルだけど、これがいちばんカッコよく見えるんですよね。真正面だと意外に変な感じ。



 

左岸側から見るとこうなっています。PART 1で紹介したカフェPanisを出たあたりです。後ろ側(サン・ルイ島側)から見た姿は2009に紹介しました。

 


正面の広場にはいつでも観光客がたくさんいます。正面に向かって右手に、ブロンズの騎馬像があります。カロリング朝フランク王国の第2代で800年に「西ローマ皇帝」となったシャルルマーニュCharlesmagne)。文字を読めなかったが文字の大事さを説いて子どもたちに教えたとか、学者を招いて講義を受けるのを好んだなどと伝わります。山川の教科書で学んだ元・受験生にとってはドイツ語読みのカール1世(Karl I)のほうが通りますかね。フランスでは「フランスの王様」だと一般には思われています。実際には「フランクの王様」ですが。




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20日の日曜ミサです。この大聖堂は1214世紀に建造されたゴシック様式のもので、当時としては相当に高い建物であったことがわかります。一般の観光客は周囲の回廊部分にしか入れませんが、ぐるりと一周するだけでもたっぷり時間を要します。高くて調和の取れたカーブをもつ天井、見事なステンドグラス、パイプオルガンの音色など、ことごとく重厚で心に響きます。

  

 


さまざまなモニュメントとか、聖人をまつるコーナーとか、宝物館(有料)とか見どころもたくさんあります。聖人の中にはかのジャンヌ・ダルクさまもいらっしゃいます。私が偉そうに学者稼業をしていられるのもこの方のおかげです(という話はこちらに)。

ノートルダム大好きなので、滞在中に3回は行きますね。

 

 

さて今度は左岸にあるサン・ジェルマン・デ・プレ教会Église Saint Germain des Prés)。6世紀中ごろに大修道院(abbaye)がこの地に設立され、フランク王国の発展とともに宗教的センターの役割を強くしていきました。現在の建物のうち尖塔と身廊は1112世紀のもので、まともな建築物としてはパリ市内で最古です。名称のプレ(prés)は原っぱのこと。最初このあたりは市の中心(シテ島)から少し離れた原っぱだったらしい。

 

 

古い建物だけに規模はそれほど大きくないですが、中は渋くて、意外に明るい。このすぐ外を走るサン・ジェルマン通りは交通量が非常に多い道路で、目の前が主要交差点(変形五叉路)でもあるのに、内部はそういう喧騒とは別世界のように感じられます。



 

3つ目はこれも左岸のサン・シュルピス教会Église Saint Sulpice)。サン・ジェルマン・デ・プレから200mくらい南に行ったところにあります。17世紀中ごろに造りはじめ、完成したのは1870年だそうですから、絶対王政が終わって革命になって帝政になって王政復古してまた革命があって帝政になって2度目の帝政が崩壊しようという時期ですよね。ノートルダムも200年くらいかけて造っているし、この手のものは時間がかかるようです。

この教会はかなり大きく、狭くてごちゃごちゃした町なかにあるのでなおさら威容を感じます。正面にはヴィスコンティ作の噴水が置かれています。

 

この教会の歴史的・文化的な価値とは直接かかわりないことながら、ベストセラーとなった『ダ・ヴィンチ・コード』がここの日時計に謎解きのカギを仕込んだりしたものだから、変なふうに有名になってしまいました。ま、ただ、そうでもなければイチゲンの観光客がいきなり行くことも少ないでしょうね。左岸好きの方はデ・プレとセットでぜひ。

PART 4へつづく

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