2014
WINTER
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Part2
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Part 3
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黄昏の・・・じゃなくて14時前のレスター・スクエア
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クリスマス・マーケット的なものも出て実ににぎやかなレスター・スクエアのすぐ北側に中華街(China Town)があります。このあたりもかなりの人出。アヒルの焼き物などがぶらさがった中華料理店のウィンドウやメニューをのぞき込んで食事のプランを練っている人の多くは欧州系の顔立ちです。中華は安くて量が多く、野菜なども取れるので人気があります。半分くらいがベトナムまたはタイ料理というパリの中華街ほどではないにしても、ここでも韓国、日本、ベトナムといった、大きなくくりでいえば「アジアの東のほう」のお店が見えます。実感として中国と韓国と日本の違いがわかっている欧米人って、そう多くはないですよ。私がこちら(欧州!)の事情をレポートする際には、なるべく地域ごとの個性や差異を伝えようと努めていますが、それでもしばしば「欧州ではこう!」的なことをざっくりいいますよね。そのほうがわかりやすい、またはおもしろいからですが、遠くのことってそうした非対称を生みやすいのだということは心得ているつもり。
中華ランチ・ビュッフェは₤8.90(お手ごろ!)
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ジャパン・センター前にはラーメンの屋台も
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幅の広くない道路の両側に多様なショーウィンドウ、そして思い思いに歩く人たち。何だか新宿の、そうだなあ、ジュンク堂の裏手、ビックロとかライオン会館があるあたりを歩いている気分になってきました。この「界隈」には何度も来たことがあるけれど、厳密にこの「通り」を歩いたかどうかは不明のまま、でも脳内ナビはちゃんと機能しております。映画館などのある道を進めば、ジャパン・センター(Japan Centre)があります。日本関連のもろもろを売るお店で、以前はこの近くの別の場所にありましたが昨今移転した模様。道理で印象が変わったなと思いました。初めて欧州に来た24年前、情報収集に行きづまって日本語の通じるこの店に入り込んだ記憶があったりします。
センターの前にラーメンの屋台が出ていて、KOTTERI
TONKOTSU RAMENと妙にこってりな表示。ロンドンにもパリにも、ラーメン屋さんずいぶん増えましたよね。私は一度も入ったことがないのですが、のぞき込んでみると、白人の兄ちゃんとかが例のバンダナを巻いて麺を湯切りしていたりするのが普通に。
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ピカディリー・サーカス
ピカディリー・サーカスからリージェント通りを望む
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その先がロンドンのど真ん中、ピカディリー・サーカス(Piccarilly Circus)。ニューヨークでいえばタイムズ・スクエア、東京でいえば銀座和光前。パリはどこだろう? まあその手の商業的中心で、やたらに派手なネオンサインがしばしばテレビの映像にも出てきますよね。まだ14時半くらいなのに、もう黄昏どきのような感じで、あざやかなネオンが浮かび上がります。以前SANYOだった部分の広告はヒュンダイになったのか。時代だなあ。Circusというのは曲芸的なあれと原義は同じで、円形の施設を指します(曲芸のほうは円形闘技場がルーツ)。英国では方形広場をスクエア、円形広場をサーカスということが多く、アメリカ式ならサークルということになりますか。
そのまま西に向かって直進すれば、紅茶でおなじみフォートナム・メイソンの本店を通り過ぎて、先ほど歩いたハイド・パーク・コーナーに行き着きます。そのままハイド・パークの南辺をなぞり、ケンジントン方面へ。でも今回は(今回も)微妙に右折して、円弧のようなカーブを描くリージェント通り(Regent Street)を歩くことにしましょう。基本的にはタテ(南北)の筋で、東西の目抜き通りであるオックスフォード通りと直交するあたりまでは一大ショッピング街になっています。自動車の交通量はとても多く、それ以上に両側の歩道には人があふれています。
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ユニクロ その1(リージェント通り)
サヴィル・ロウ 地下に「現場」がある店がほとんど
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ハナキンという言葉はたぶん英国にはないよね。このにぎやかさは週末らしいなと思います。あ、年末でしたね。この並びにはユニクロやH&Mなどのファスト・ファッションも大店を構えています。銀座も、どこともそうですよね〜。さて、途中で折れて、リージェント通りの一筋西を並行する道に入ってみました。ここがサヴィル・ロウ(Savile Row)で、かつて仕立て職人が集住したところ。現在では、道の両側に主に男性のフォーマル・ウェアを売る小売店が並んでいます。日本語の「背広」はこの通りの名に当て字したものだといわれます。リージェントと比べてずいぶん静かで、祝日をしっかり休んで(閉店して)いるところが大半。ディスプレイされた商品を眺めるのはタダなのでゆっくりと見物したら、₤2000とかのスーツが普通の相場だな(汗)。ネクタイくらいなら買えるかなと思いかけたものの、たぶん無理。わ〜。スーツとワイシャツは男の戦闘服で、一種の消耗品だと思っていますが、もう少し豊かになったら勝負スーツの一着も仕立ててもらいたいものではあります。
現在でも仕立て職人さんが縫製し、それを直売するという業態が主なのか、大半の店舗では地下に工房?があって路面からのぞき見ることができるような構造になっていました。おもしろいですね。
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ファスト・ファッションの王様H&M 近くにあるけど別の店舗です
(左)ブリティッシュ・ホーム・ストア (右)ジョン・ルイス
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サヴィル・ロウを行き止まりまで歩いてから、再びリージェント通りに戻ってきました。そのまましばらく進むとオックスフォード・サーカス(Oxford Circus)。こちらはサーカスといっても普通の交差点です。ここからオックスフォード通り(Oxford Street)を西に進むことにしましょう。このまま直進すればハイド・パークの北辺、つまり宿泊しているホテルのほうにつながっています。オックスフォード・サーカスからしばらくは、デパートや大型ショッピング・ビルが林立する地区ですので、気が向いたらどこかで買い物しよう。
ユニクロ その2(オックスフォード通り)
買い物しようなんていうようになったのはここ5年くらいかな。以前は町を歩いていればよかったのに、金がかかるようになりました(苦笑)。ためしに1、2軒の店に入ってみたら、すれ違うのがやっとというくらいのにぎわいで、荷物とか財布に気をつけなきゃ。どことは申しませんが、大衆デパートのネクタイはぺらぺらの中国製ばかりで買う気が起きませんでした。中国製がダメだというのではなく、日本で売っているやつはもっとよいので、要は企画側の問題でしょう。
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ディベンハムズ
フォーエバー21の隣にH&Mとかまぢ最強(笑)
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いやあ年末年末。こうなってくると歴史とも英国文化ともほとんど無関係に、グローバルな消費文化の中に身を置いているだけですね。グローバルな消費文化が好きな人はぜひロンドンにおいで。パリもそうですが、ロンドンのこのあたりのほうがより無国籍的(普遍的ともいう)だから。日本人観光客らしい人を見かけないわけでもないですが、あまりいない。25日から休み(授業そのものは22日で終わり)という私のほうがイレギュラーで、年末に海外旅行しようという人は明日(27日の土曜日)あたりから年またぎで来るんでしょうね。
マークス&スペンサー
結局ネクタイは他日を期すことにして、大々的にPB(プライベート・ブランド)商品を並べる総合ストア、マークス&スペンサー(Marks
& Spencer)の地下食品売り場に入り込みました。ここもにぎわっています。2月のダブリンでもしたように、M&Sでパブタイムの飲み物を買っていこう。ワインにしようか、最近毎晩のように飲んでいるスパークリングにするか、とかいろいろ考えたものの、どうもしっくりきません。夜はどこぞのパブに行ってビールを飲むに決まっており、ビールじゃないやつにしたいと思っているのですが・・・。広い売り場を2周くらいしたところで、瓶入りサイダー(cidre)に気づきました。フランス語読みすればシードルで、日本でいうサイダーとは違ってリンゴの発泡酒です。パリのスーパーではあまり見かけないような気がしたから、1本買ってみました(₤2.20)。「₤250が当たる!」と書かれたレシートがレジのおばさんから手渡され、何かの抽選券らしいですが、スマホなんてもっていないもん。
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マーブル・アーチ
ベイズウォーター・ロード
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M&Sから少しだけ西に行ったところに、マーブル・アーチ(Marble Arch)という、文字どおり大理石造りの門が見えます。お買い物エリアはここまで。ここはハイド・パークの北東(右上)の角にあたります。自由に演説できるというスピーカーズ・コーナーはこのすぐ裏側。ところで地下鉄セントラル線(Central Line)のマーブル・アーチ駅がこの直下にあり、ホテル最寄りのクィーンズウェイ駅は2つ先なので、ここからはあまり景色の変化がない中を歩きつづけなければいけないみたいです。バスはどんどん走っているので乗っちゃえばいいんですが、ここまで来たら完歩したいよね。折り傘を差さなければならないほどの雨になってきたし、夕方ではなく夜の暗さに突入してきたので、もうさくさく歩こう。
今日の散策をスタートした地区に戻ってきました。ハイド・パークの北辺、ベイズウォーター・ロードは広々とした道路で、かなりの交通量があります。今朝のぞいたパディントン駅は進行方向の右手、ここから少し北に外れたところにあります。もう真っ暗になった16時ころ、ホテルに帰着。本日の歩行距離はたぶん7〜8kmくらいです。
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クィーンズウェイ
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さすがに疲れたので2時間くらい昼寝、というか夜寝。20時くらいになって、外に出ました。ベイズウォーター・ロードから北に折れる道が地下鉄の駅名にもなっているクィーンズウェイ(Queensway)。この通りのことはいろいろな本で読んだことがあります。中華やインドなどエスニック系の料理店が集まっているということで、たしかにそのとおりですが、マックやスタバもあり、普通の西洋料理?もありで、要するに住宅街に囲まれた飲食店街ということね。都心から離れているため、東京でいえば私鉄沿線的なテーストが感じられます。
とはいえ、ロンドンに来てまだ2日目、しかも前夜は遅い時間にタクシーで送り届けられただけだったので、やっぱり今宵はパブに行きたい。ウェイを200mくらい進んだところにPrince
Alfredというパブがありました。中が2区画に分かれていてけっこう広い。パブの2区画というのはよく見るのですが、かつて階級別になっていた名残という話も聞いたことがあります(そのためか、エントランスもたいてい2ヵ所あります)。ラガーを1パイント頼み、いわゆるパブめしの中からコッテージ・パイ(Cottage Pie)₤8.25を発注しました。話にはよく聞いたものの食べるのは初めて。メニューに添えられた散文調の解説では “Homemade pie of lean minced beef, chopped vegitables and onions
cooked in brown gravy. Topped with mashed potatoes and cheddar cheese.” ということらしい。これだけ聞いても具体的なイメージはなかなか湧きにくいですよね。出てきたお皿を見ると、パイというよりグラタンのイメージに近く、牛ひき肉とタマネギ、グリーンピースを炒めて、マッシュポテトとチーズを載せて耐熱皿ごとオーヴンで焼いたものではないかと思われます。てかそうでしょう。味が濃くて美味しいですが、ずいぶん素朴な料理やな〜。このパブには老若男女どころか、ファミリーで夕食に来ている人もいて、客層が広いですね。
サイダーという名前のリンゴビールは予定どおり寝酒になりました。日々スパークリング・ワインを飲んでいるので、まあそれに近い感覚ではあります。中3日ほどウェールズに出かけて、ロンドン歩きは12月30日に再び。
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Part4
へつづく
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