Un petit voyage à Londre

 

 

PART 3


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4日の第2パブを出て、地下鉄で1駅、ウェストミンスター(Westminster)駅へ進みます。パリと比べてみたとき、ロンドンは、バスといわず地下鉄といわず、駅間距離が長い。歩けるかな、と思ったときでも乗ったほうがよいというケースがあるように思います。ただ、ロンドンの地下鉄はどことも地底深くを走りますので、地面とホームの行き来は大変です。

 テムズ河畔に建つ国会議事堂 議会政治発祥の地です
 オリヴァー・クロムウェル 教育実習の研究授業(世界史)がピューリタン革命だったため、さんざん勉強しました


ローマ時代以来のロンドンの中心というのは、ここから数キロ東へ寄ったシティ(City)だったわけですが、そこは中世西欧の都市に特有の自治的商工業都市として発展したわけで、あとから強大化した王権もうかうかと手を出せませんでした。で、西寄りのウェストミンスターに本格的に陣取ったのは、11世紀半ばにフランスのノルマンディーからブリテン島に進撃してイングランドを征服した(ノルマン・コンクェスト)、ノルマンディー公ギョーム(Guillaume de Normandie)ことウィリアム1世(William I)。つまり、実質的な意味で、イングランド統一王朝の歴史とここウェストミンスター地区の発展は時間的に重なるわけです。でもって、テムズ河畔にある荘厳な建物がウェストミンスター宮殿Palace of Westminster)。元は王宮だったのですが、その一隅で貴族たちが参会して議会が開かれるようになり、やがて議会こそがここの主人になります。現在は国会議事堂Houses of Parliament)という名のほうが通りがよく、建物の端部にある時計塔はビッグベンBig Ben)の名で非常によく知られ、ロンドン随一のシンボルになっています。日本では昨夏の参院選で与野党がねじれる現象が生じ、何ごともどう進めたものか困惑するようです。自民党の幹部が「民主党も参院第一党になったのだから責任政党らしくふるまえ」なんて逆ギレするけれど、自民党こそ与党が長すぎて、「与党である」という態度はどうあるべきか見失っているような気がしますね。強行採決とか形式的な同意取りつけなんて、責任政党がとるべき態度ではない。議会政治発祥の地で立ち止まって考えることは多いです。さて私は「政経の先生」でもあるので、ウンチクをすこし述べておきましょう。ここに拠する英国の議会はParliamentと表現されます。ストラスブールほかに所在する欧州議会もEuropean Parliament。これに対してフランスなどの議会はNational Assembly、アメリカの連邦議会はCongress、ドイツや日本の国会はDietといっています。英国議会の上院はHouse of Lords(貴族院)、下院はHouse of Commons(庶民院)。議長はそれぞれLord SpeakerSpeaker of the Houseと称します。ちなみに日本の参議院はHouse of Councillorsで衆議院はHouse of Representatives、なぜだか議長の英名が異なり、それぞれPresidentSpeaker。新聞やニュースサイトを読むときには注意ね。

 
(左)テムズ川の右岸側にそびえるBAロンドン・アイ(大観覧車) (右)ウェストミンスター寺院


川べりに建つ議事堂の1筋内側には、王様の戴冠式などで知られるウェストミンスター寺院Westminster Abby)があります。内部も見たかったのですが、夕方になっていたためクローズでした。この周囲を歩いているあいだに何度も鐘が鳴るのだなと思っていたら、15分おきのようです。すこし前の朝日新聞で、日本の学校のチャイムはここのメロディが基本になっているのだと読んだのですが、なるほどね。

そのあたりでバスをつかまえると、今度はパリでもおなじみの2連接バス。縦に2つ載せるか、前後につなげるかの違いですが、印象はずいぶん違います。これもどこへ向かうのかだいたいのカンで乗ってみたら、さきほどのトラファルガー広場、ピカディリー・サーカスを通って、ショッピングゾーンとして有名なリージェント・ストリートRegent Street)に出ました。ここも英国調のしなやかなカーブを有していて、ヘアスタイルのリーゼントというのはそこからの発想。日本のリーゼントは不良っぽいイメージだけど、リージェントは非常に上品でまさに銀座の装いです。きらきらしています。

 
リージェント・ストリート 写真奥のほうにカーブがみられます

カーナビー・ストリート


にぎやかな雰囲気に惹かれるまま、またまた地図も見ないで適当に曲がると、カーナビー・ストリート(Carnaby Street)と称するショッピングゾーンでした。夕方になっているので、かなり人出があり、ストリート・ミュージシャンや大道芸の人も出ていました。

  本日の第3パブ


で、早くも燃料切れ。足の裏だけでなく、膝が笑いはじめました。やばいぞ。やむなく(?)3パブ。オニール(O’Niell’s)というのですけど、パンフを読んでみると大規模チェーンのアイリッシュ・パブのようですね。固有名詞につくオ(O’)というのがアイルランド系です。男は黙って1パイントですが(そもそも黙っていると注文できないのが英国のパブだが)、累積ぶんもあるし、夕食時間も近いため、アイリッシュにちなんでギネスのハーフにしました。いまは東京のコンビニでもふつうに買えるようになりましたけど、本場で飲むと違う、ような気がする。1/2パイントで£1.60。東京のHUBより安いですね。

 
黄昏のオックスフォード・ストリート


カーナビーのすぐ北を東西に走るのが、これもショッピング街のオックスフォード・ストリート(Oxford Street)。ちょっと新宿っぽいかな? よく知るお店が並んでいるせいもあるかもしれません。カジュアルなブティックや書店、CDショップ、スポーツショップ、ファストフードなどが林立します。ウィンドウショッピングは嫌いでないので、ゆっくり歩いて、いくつかのぞいてみました。昨日までパリにいて、ロンドンに来てみると、街の規模とかお店の雰囲気が全般に東京に近い印象です。パリは、おなじみのお店でもパリっぽい雰囲気を(よくも悪くも)まとっているのだけど、ロンドン(ソーホーあたり)はオープンで明るいですね。もちろん、道路のカーブやペイヴメントの感じなどにロンドンらしさも存分に感じられます。んー、やっぱり来てみないといけませんな。毛嫌いしていないでニューヨークにも行ってみるかな。

店を冷やかしたりおみやげを購入したりするうち19時を過ぎました。膝から下が本当にやばい状態になってきたので、どこかで夕食をとって宿に戻るとしよう。オックスフォード・ストリートを西へ向かうバス(今度は東京のバスと同じでシンプルな1台もの)を見るとヴィクトリア・ステーションを通る旨が書いてあったので、魔法の切符を見せて乗り込みます。このバスは、オックスフォードを西へまっすぐ向かい、左折してハイドパークの東縁に沿って南下する経路をたどりました。ロンドンのさまざまな夜の景観を眺めるのに、結果的にグッドなコース。ヴィクトリア駅から宿までのあいだに小規模な飲食店が並んでいるのを来るときに見ていましたから、そのあたりを訪ねてみると、パブにしてはライト、ファストフードにしてはしっかりしたつくりのレストランがあってお客もけっこう入っていましたから、のぞいてみました。Nando’sというポルトガルふうチェーンのようで、メニューはことごとく鶏肉!

  エンジョ〜イ! これで締め、と思ったら


何となくパブと同じ要領でレジの列に並んでいたら、若い店員があいさつしてきて、何やらかにやらと話しかけます。英語はわかりませんですけど、「テイクアウトじゃなくてここで食事するのですか? ここはファーストタイム?」とかいっているのでイエスというと、システムをゆっくり説明してくれました。まずはテーブルを確保し、メニューをもってレジに並び、席の番号を告げて注文するんだそうです。飲み物をその場で渡されるのはパブと同じで、ナイフやフォーク、調味料などは向こうのカウンターでピックアップしてねと。何とも中途半端な設定で(早大本庄キャンパスの馬車道みたいだ)、安いレストランだとしてもこれが一般的なロンドンスタイルとも思えず、駅裏という場所がら地元以外のお客もたくさん来ていてシステムを理解できない人があまりに多く、レジの店員さんはそのつど延々と説明するので列が伸びます。1人は留学生なのか若い日本人女性で、一生懸命に説明するのだけど客がまた何やらいうので、当方の番がなかなか回ってきません(笑)。並ぶのはパリで慣れていますけどね。ブレスト(胸肉)のバーガー、チップス添えというのをとり、食事なので赤ワインのグラスを注文しました。南アフリカ産のメルローで、グラスといってもフランスの1/4ピッチャーを上回る25clでたっぷりしています。フランスでフリット(「フライド」に相当する過去分詞形のfrites)と呼ぶフライドポテトを、英国ではチップス(chips)といい、サイドディッシュはこればかりです。ある人は、外食すると植物繊維をとりづらいのでポテトで確保するのだ、なんていっていましたが、このまま現地ふうの食生活をつづけたら、メタボリックなんとかに早晩なりそうだ。この夜のテレビで「フィッシュ&チップスはダイエットの敵だよ」みたいなトークがありましたけど、そんなこと21世紀になってから指摘するような情報かよ。ま、一時滞在者なので郷に従うことにして、ポテトの山と格闘。ケチャップもいいが、私は欧州に来るとコショウを振って食べることが多いんです。バーガーは想像どおりの味で、もう少しジューシーさがあるといいんだけどなあ(向こうの人は肉質の締まったものを好みますがね)。込み込み₤9.85也。

 風呂上がりにこれも飲むのね


その並びにスーパーがあったので寝酒を。パリからの遠出ではこのところパターン化している行動ですが、広々とした品揃えのよいスーパーなのに、ビールは種類が少なく、50cl缶の2本セットばかりで買う気が起こらない。ビールならパブでドラフト(生)を飲む、ということでもなかろうし。冷蔵コーナーをのぞけばアルザスのクローネンブール1664の大瓶(66cl)があったから、これでいいか。ロンドンに来てクローネンブールでもないけど仕方ないわ(飲まなきゃいいじゃんね!)。日本では瓶ビールを自分で買うことなんてないですけれど、ゼミ生たちがドイツでビールを買ってきてプレゼントしてくれたのをパリに置いて来ており、どのみち明晩のために栓抜きを買わねばならないところだったのでした。

 イングリッシュ・ブレークファスト


明けて35日、水曜日。7時半に起き出して地下の朝食フロアに降ります。トーストに、ソーセージ(またはベーコン)と卵料理が盛られるイングリッシュ・ブレークファストで、このホテルはトースターの操作を含めて完全なセルフサービスでした。号室番号を訊かれることもないのは朝食料金がセットされているためでしょうか。ロンドンのホテルをネットで検索したところ、安いところはコンチネンタル・ブレークファストばかり、ここは例外的にイングリッシュだったことも選択の理由でした。私も日ごろはコンチネンタルだし、フランス屋なのでそれで十分だけど、せっかくロンドンに来たならね。実は国内でも「ホテルの朝食」(最近はバイキング)というのが大好きで、安ホテルに泊まっても朝食だけ高級ホテルに食べに行くこともあるのです。まあしかし、単純なソーセージとスクランブルド・エッグとトースト、こういうメニューなら自分で買ってつくったほうが数倍美味いと思う。英国については他でもよくそう聞くし、もっとがんばれないものかね。マシーンで供されたコーヒーがまたひどい代物で、ネスカフェを乱暴に薄めたような液体(ていうか絶対それだ)。むー。卒業旅行とおぼしき日本人男性2人づれがいたので、軽くあいさつしておきました。9時前にチェックアウトしましたが、事前のカード決済のため1ペニーも落とさず、ドライに終わりました。See you!


PART 4 へつづく

 

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