古賀毅の講義サポート2023-2024
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d’étude 教育課程論
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2023(令和5)年度 教職科目における指導・評定方針
2023年7月の授業予定
7月1日 総合的な学習(探究)の時間の構想(2)
7月8日 特別活動の構想/特別支援教育の構想
7月15日 教育課程と評価
当科目の評定、課題1・2の総評などをmanabaにて配信しています。
REVIEW (7/15) ●評価と聞くと生徒が評価されるイメージがあったので、今回の話を聞いて驚きました。試験も、生徒を評価するためのものに見えますが、正答率が低い問題があれば教師の指導不足と判断でき、結果的に教師側の評価につながるのだと気づきました。生徒目線と教師目線の見え方の差を感じました。 ●教育評価というテーマが、教育課程論の中で、いちばん生徒目線でいてはいけない内容だと思った。生徒目線では次の授業につなぐための評価であるという認識がどうしても抜け落ちやすくなりそうである。でも、それなら小・中・高で、どこがわからないのかなどを確認するための小テストであるとせめていってほしかった。 ●評価には、学校や教師が対象となるものが含まれることがわかった。 ●大学を評価するための機関があることを初めて知った。 ●評価は生徒だけでなく学校や教師もその対象であることを学んだ。思い返してみたら、高校のころ、保護者向けの学校評価アンケートがおこなわれていた。 ●教員の立場として、期末テストなどといったものは、単に生徒の学力を評価するだけでなく、自身の教育への評価も含まれるのだとわかり、とても興味深い。いま学生の立場としてテストにおびえているが、教員側としても自身の評価にかかわるものなので、少々怖いと思った。 ●「学習活動のスペース」が、学校評価ではなく教育課程の評価に含まれているのに驚きました。スペースというからには学校としてそのスペースをつくる、つくらないということだと思ったので。 ●評価規準と評価基準を間違えないようにしたい。(複数) ●診断的評価、形成的評価、総括的評価について、どんなときに何が重要視されるのかを覚えておこうと思った。 ●試験が、教師の教育活動の成果を評価するものだというのは、まったく考えたことがありませんでした。試験問題をつくるときにはしっかり念頭に置くようにしなくてはと思いました。 ●生徒を評価するときに、テストの点数というわかりやすい数値だけで評価するのがいちばん簡単なのだろうと思った。点数ばかりをことさらに重視しないよう気をつけたいと思う。 ●評価活動が、生徒の評価ではなく教師自身への評価であるということをきちんと覚えておきます。 ●私はテストで凡ミスばかりするのですべて形成的評価だったらよかったのにと思った。 ●3観点の中で、主体的に学習に取り組む態度が最も重要なのでは、という意見には同意できる。道徳的な面でも必要な評価だと考えた。 ●評価対象者に対して、自分のテストや授業をまじめに受けていたから高評価などの安直な評価はおこなわず、どの程度理解できていてどこが弱いのかなどの分析をして、授業に変化を与えたい。 ●先生は指導要録に記入する際に気をつけている点などはありますか? また先生は枠内以上に評価・観点づけられる印象なのですが、いかがでしょうか? ●個人的には思考・判断がいちばん大事であると思っている(理系であるということが大きく起因していると思う)。関心と知識が両立すれば自然と思考・判断がついてくると思ってしまう。自分はそうだが、生徒がどうかはまったくわからない。難しいです。偏差値には一喜一憂しない人生を心がけてきたので、生かしたい。 ●試験問題の平均点を調整するのは難しいはずなのに、平均点を的中させるのは、さすがベテランの先生だと思った。 ●試験問題をつくるという話題に興味をもった。試験問題作成といっても、難しすぎても生徒たちが解けず、平均点が低くなってしまうし、簡単すぎても平均点が高くなってしまう。それを防ぐためには、日々の授業から生徒の習熟度に応じて試験問題を作成する必要があると思った。 ●成績評価に関して、絶対評価のできる授業づくりやテスト作成をおこなわなければいけないのか、もし平均点が低く絶対評価した場合に赤点が多くなったら、相対評価になるのか、知りたいです。 ●教科教育法の授業でおこなっている模擬授業や学習指導案づくりで、自分が生徒に対しておこなう評価がどのようなものになるか、改善点はないかということを調べて、さらによいものになるようにしていきたい。 ●評価に関する知識や認識を改め、正しく認識し、いろいろな視点や考え方で生徒、教師自身、授業、学校等の評価をおこなえるようにしたい。 ●評価することは難しいことだと思ったが、堂々としていなければだめなのだとわかった。教員は評価をするし、されるので、自分の授業を見直すうえでとても重要なことだと思った。 ●3Sの授業では、主体的・対話的で深い学びの話が印象的だった。4S以降も多くのことを学ぶのでがんばっていきたい。
教育課程論は、教職課程のうちいわゆる教職専門性(担当教科にかかわらずすべての教員に共通する専門性)の形成にかかわる科目のひとつです。おおまかにいえば、2S教育原理が教育の目的・目標、この3S教育課程論が教育の内容、5S教育の方法・技術とICTが教育の方法を学びの対象としますので、目的・目標を踏まえた教育内容(educational contents)を考える、ということになります。ただ、教育の内容といってもピンとこないことが多いかもしれません。学校種によっても、教科によってもさまざまですし、広がりがかなりあります。また、生徒目線で考えると、教育の内容というのは初めから決まっていて(決められていて)、個々の教師はそれを順に教えていくだけだ、というふうに捉えている人もあることでしょう。たしかに生徒としては、先生が繰り出してくる内容を順に学び、消化していくのが常で、そこにどんな論理や特色があるのかなど、考える余地はほとんどありません。しかし、教育内容というのは自明でも不動でもなく、常にリフレッシュされるものです。グローバル化の進展とともに英語の学習が強化され、ICT/AI時代の本格化とともにプログラミング学習がカリキュラムの中心に入ってくるということからもわかるように、社会のあり方が変わることに伴い、教育課題・教育目標も変化ないし拡張して、それに伴って教育内容も再編成されます。時代とともに不要になる部分ももちろんあり、「私が中学生のころは普通に学んでいたのに、いつの間にか教科書から消えている」といった項目も、思いのほかたくさんあります。社会科とくに公民の内容が、社会状況に応じて変化するのはわかりやすいですが、みなさんが専攻する理系教科もまた、科学や技術、そしてそれをとりまく社会状況の変化などに伴って、内容をリフレッシュしていきます。 学校の教育内容を時系列に沿って配置したものを教育課程(course of study)といいます。したがって、教育課程論という名の当科目では、教育の内容だけでなく、それをどのような順に配置するか、どのラインに配置するかといった点も重要になります。とくに高等学校段階では、教科のサブカテゴリとして科目があり、教科そのものはめったに変わらないものの科目のタイトルや切り分け方、必修パターンなどは約10年おきに変動します。自身が中高生だったころの経験に依拠して考えるのがナンセンスであるのはいうまでもありませんが、プロの教師になってキャリアを重ねるあいだに何度も科目構成などが変わりますので、そもそも何のためにそういう配置になっているのかという点を適切に理解しなければ、その時々の生徒に対して指導することはできなくなります。1年生のとき以上に、プロ寄りの視点が重視されることになります。 当科目は3部構成をとります。第1部は、教育課程とは何か、いかなる論理や原理に沿って編成されるのかということを考察します。かなり重要で、基礎的な内容ですが、ゼネラルであるぶん抽象的で、ふだんそのような頭の使い方をしていない人にとっては難解で混乱するかもしれません。しかしこれを突破して自身の頭で思考できるようにならなければ教育者の道は相当に厳しいと考えてください。第2部は、教育課程の基準として国(文部科学省)が示している学習指導要領の内容と、その変遷を学びます。現行の学習指導要領は、中学校が2021年度、高等学校が2022年度から実施されているもので、すでにみなさんが中高生時代に学んだ内容、構成から変わっています。自分が学んだ内容が過去のものである、と考えると、学習指導要領の歴史(歴代の要点)を整理しつつ、最新のものの新しさや従来のものから受け継がれている部分などを検討することの意味や重要性がわかるのではないでしょうか。第3部は、現在の教育課程を構成する教科以外の領域を一つずつ取り上げて、教育課程上の位置づけやその特色、課題などを考察するブロックです。道徳教育、キャリア教育、総合的な学習(探究)の時間、特別活動、特別支援教育を取り上げます。これらに関しては、それぞれ個別の教職科目があり、4S以降で順次学んでいきますので、そのあらましを紹介するインデックスの意味を含みます。教育課程の全体像を捉えるために、あえて個別の内容を考えるという試みです。当科目では、教育用語が頻出します。「学校の先生」であれば誰でも普通に知っているが、生徒を含む一般人は知らない単語が毎回のように出てきます。意味は調べればすぐにわかりますが、位置づけや「意義」は一筋縄ではいきません。2年生になって、いよいよ教職課程の学びも本格化していきます。心と頭のギアを切り替えて臨むようにしてください。
学習指導要領および学習指導要領解説は随時紹介します。下のサイトから各資料にアクセスできます。書籍版もありますので希望者は購入してください。 <評価> ●提出物(レポート)の内容により評定します。 |