古賀毅の講義サポート 2025-2026

Études sur la société contemporaine I: Pour vivre dans une société du futur proche

現代社会論I近未来の社会を(に)生きる構想と探究


早稲田大学本庄高等学院3年(選択科目)
金曜12限(9:10-11:00) 教室棟95号館  S205教室

講義サポート トップ
現代社会論II:グローバル思考と近未来の世界への学び

 

20254月の授業予定
4
11日 開講にあたって/学びの質・手法・視点をアップデートする
<第1部 生活環境からみた現代社会>
4
18日 高騰する食料・飲食
4
25日 洗濯と洗剤と燃料とジェンダー

 


開講にあたって

現代社会論は、附属高校ならではの多彩な選択科目のひとつであり、高大接続を意識して、高等学校段階での学びを一歩先に進め、大学でのより深い学びへとつなげることをめざす教育活動の一環として設定されています。当科目(2016年度以降は2クラス編成)は、教科としては公民に属しますが、実際にはより広く、文系(人文・社会系)のほぼ全体を視野に入れつつ、小・中・高これまでの学びの成果をある対象へと焦点化するという、おそらくみなさんがあまり経験したことのない趣旨の科目です。したがって、公共、倫理、政治・経済はもちろんのこと、地理歴史科に属する各科目、そして国語、英語、芸術、家庭、保健体育、情報、理科あたりも視野に入れています。1年弱で到達できる範囲やレベルは限られていますけれども、担当者としては、一生学びつづけるうえでのスタート台くらいは提供したいなという気持ちでいます。教科や科目というのはあくまで学ぶ側や教える側の都合で設定した、暫定的かつ仮の区分にすぎません。つながりや広がりを面倒くさがらずに探究することで、文系の学びのおもしろさを体験してみてください。

当科目は毎年、内容・構成とサブタイトルを変えています。2025年度は近未来の社会を(に)生きる構想と探究です。副題の妙なところに(かっこ)がついていますが、助詞を入れ替えると「生きる」の主語も替わるようになっています。どのようになるかは、各自でお考えください。現代社会論Iではこのところずっと探究(re-search)を掲げています。これは文部科学省も強調するところであり、日本の児童・生徒、とくに中高生が重点的におこなうべきだと考えられている知的プロセスにほかなりません。インターネットに加えて生成AIも身近になりましたので、○○の意味はなんですかといったシンプルな問いであれば、一瞬で答えを出せてしまいます。下手な先生が講釈するよりもはるかに平易でわかりやすいですよね。しかし、社会で生きて、生活・生産に携わろうとするときに、それで済むのかということについては、絶えず自問してほしい。実際に直面するのは、まだ出会ったことのない問題や、正解がはっきりしない課題であることが多いのです。○○の意味というような知識を、高校や大学でしこたま取り込んだとしても、社会のほうがどんどん変わってしまいますので、せっかくインプットしたものがたちまち無駄・無用になります。構想や探究というのは、その先で持続可能なもの、というイメージで設定した当科目の主題です。現代社会がいま抱えている問題の多くは、原因や構造がはっきりしているが解決策が見出しがたい、あるいは解決策をめぐって対立が起きているという場合と、原因や構造すら明らかでないというものです。正解を覚えてテストで出力し、点数を取るという方式にはなじまない、そうした部分こそ、小・中・高と社会科や地理歴史、公民科を学んできた先の部分、つまりみなさん自身がその力を磨いていくべき部分ではないかと、私は考えています。大変ですし面倒ですが、この作業はとてつもなくおもしろい。大変だけどおもしろい、ということをわかってしまうと、もう探究をやめられなくなります。生涯にわたって学びつづけることになります。その一歩にしたいですね。

2つのことをあらかじめ心得てほしい。(1)これは政治、こっちは経済、それから世界史、日本史、倫理、あるいは数学、理科、情報・・・ などと、学校の都合で設定されたような教科や科目の枠組にしばられるのは、もうやめましょう。何もいいことはありません。大学受験生であれば入試で選択する科目を重点的に学習しなければならないのでしょうが、附属のみなさんはその点でアドバンテージをもっています。世の中に教科の境目なんて存在しません。苦手でも不得意でもいいから、飛び越えましょう。(2)難解なこと、意味のわかりにくいことがあっても、絶対に思考を停めない。もっと易しくなりませんかとか、もっと高校生に身近な話題にしませんかといわれることもあるけれど、社会というのはそんなに甘くないし、高校3年生のアタマの水準や興味に向こうから寄り添ってくるということは絶対にありません。こちらが、寄せていかなければ。学期終わりまでに点数を取れるようになりなさいというわけではなく、ひとまず、とりあえず思考しなさい、食らいついてでも考えなさいというだけなので、それを早めに放棄してしまうのはもったいないです。率直にいって、高校3年にもなれば人によって出来・不出来やアウトプットの程度の優劣はかなりあります。あったっていいじゃないですか。メジャーリーグも草野球も野球です。それぞれの場所でバットを振ることに意味があります。

 

REVIEW 4/11

開講後に掲出します

 

 

 

 

 

講義サポート トップ