Découvrir Lisbonne
et l’Océan Atlantique
|
PART 2 |
ケーブルカーのラヴラ線を体験し、歩いて下ってもとのリベルダーデ通りに出ました。昨夜メトロを下車したレスタウラドーレス広場がすぐそこに見えています。と、今度は通りの反対の西側に別のケーブルカーが見えます。こちらはグロリア(Glória)線。20代の中国人女性3人連れが大はしゃぎしながら乗り込みました。観光客があと2、3人と、地元の人らしき高齢者や子どもで座席が埋まります。この路線もかなりの急斜面を登っていきますね。観光客かどうかは地図またはガイドブックとカメラで判別可能。 グロリア線 下の駅
展望公園にやってきました! 上の駅のすぐそばに公園があります。きれいに整地されたゆとりある公園ですが、ここは高台に面した展望公園になっている。サオン・ペドロ・デ・アルカンターラ展望台(Miradouro de São Pedro de Alcântara)といいます。さあいい景色を眺めようぜ。
サオン・ペドロ・デ・アルカンターラ通り 線路はトラムの廃線跡
サオン・ロケ教会とトリンダーデ・デ・コエーリョ広場
カモンイス広場
広場は東西に長く、東側の張り出し部分みたいなところはリジュボーアで最もにぎやかな通り(と結果的に知った)ガレット通り(Rua Garrett)につらなっています。メトロのバイシャ・シアード駅の出口がそこにあったのには少しびっくり。昨夜乗った入口はバイシャ=低地側だったので、けっこうな高低差と水平方向の距離もありそうですが・・・。 焼き栗屋さん そのガレット通り界隈がシアード地区(Chiado)です。そうか、バイシャ・シアードというメトロの駅名は低地側と高台側の繁華街を並べた連名だったわけね。小竹向原とか西中島南方とか四天王寺前夕陽ヶ丘とか中洲川端とか、地下鉄の駅名はとかく両方の顔を立てて連名になりやすいのですが、高低差があるケースはめったにないよなあ。で、私はこれからいったん低地側に降りようと思います。手っ取り早いのはいうまでもなくメトロ駅をスルーして反対側に出る方法だけど、ここリジュボーアの名物として外せないものがあるんですよね(名物いっぱいある町だねえ)。
さきほどトリンダーデ広場からきつめの坂を下ってシアード地区まで来たわけですから、北に戻るとなると今度は急な登り坂。登りきったところに小さな公園があり、教会横の路地みたいなところを入ると、けっこう狭い歩道橋が伸びています。その先に簡易カフェがあり、さらに進むとエレベータ。まず下から見上げて全容を把握し、それから上ってここに来るというのが普通の手順でしょうが、先に高台側に来たものだからやむをえません。全容についてはあとで触れましょう。ここはサンタ・ジュスタのエレベータ(Elevador de Santa Justa)。低地と高台とを結ぶ動力装置はリジュボーアの近代化にとって必須であり、斜面を登るケーブルカーと垂直方向に上昇して回廊で高台へつなぐエレベータの両方が造られました。エレベータは他にもあったようですが結果的に1901年完成のサンタ・ジュスタだけが残って、いまも現役で稼働中ということです。もっとも€5払ってエレベータを利用するのは基本的に観光客で、いまとなっては観光資源として動かしているというのが正しいと思う。設計したのはラウル・メニエ・デュ・ポンサール(Raoul Mesnier du Ponsard)なる人物で、両親がフランス人ながらポルトガルで活躍したようです。このエレベータはしばしばギュスターヴ・エッフェル(エッフェル塔の設計者)の作品といわれており、私も最近までそうだと思い込んでいましたが、それは不正解。ラウルがエッフェルの弟子であったという話もいまいち信用できないようです。ミシュランには「ギュスターヴ・エッフェルの影響を受けた、フランス系ポルトガル人の技師ラウル・メニエール・デ・ポンサルド(Rául Mesnier de Ponsardとポルトガル語ふうの綴りになっている 訳注)によって1901年に造られた」とあります(Op.cit., p.50)。 ともあれ、まずはエレベータのてっぺんにある展望台に行ってみよう。狭く急ならせん階段をぐるぐる上ると、豆の木をよじのぼるジャックみたいな感覚になってきて、納豆と高いところは社会から追放すべきだと考えている私にはけっこうハード。上りきるとそこはさほど広くない「屋上」でした。高台側はともかくその他の3方向の見晴らしは抜群にすばらしい。ほら、
同じ背丈の建物が縦横に整然とならぶバイシャ地区と、その向こうにテージョ川。
視線を少し左にずらすと、アルファマ地区の高台が見えます。
そして、どこからでも見えるサオン・ジョルジェ城。ここへは後で行ってみましょうね。
さらに左下を向けばロシオ広場です。突き当たりの白亜の建物は国立劇場。昨夜はここまでやってきたのでした。
写真の真ん中から左に伸びる緑地がリベルダーデ通りです。緑地帯が切れたところにポンバル侯の像が見えます。
で、こちらが高台側とをむすぶ回廊。
ときどきアリバイ的に写り込んでみましょう(笑)。昨日自分がたどってきたように、市内北方にある国際空港へ向けて次々に航空機が下りてくるのが見えます。それにしても、赤茶色の屋根がびっしりと並ぶ景観は独特で、南欧っぽい。12月にチェコのプラハを初めて訪れ、やはり赤茶色系統の眺めを見渡したのですが、そのときは「中欧っぽい」と感じたんですよね。お天気の違いはあるでしょうが(プラハは小雨だった)、やっぱり決定的に違うものがあるように思います。テージョ川の存在感が大きいようにも思う。これが川だというのなら東京湾なんて余裕で「隅田川の河口」と言い張れるんじゃない? 外洋へ開けた港湾都市という歴史的使命がかもし出す景観ではあるのでしょうね。 |
この作品(文と写真)の著作権は 古賀 毅 に帰属します。