パリ(仏
Paris)/パリース(独 Paris)/パリジ(伊
Parigi)
フランス共和国
パリからのエールフランス7744便でユーロエアポート- バーゼル・ミュルーズ・フライブルク空港(EuroAirport Basel-Mulhouse-Freiburg / Aéroport de
Bâle-Mulhouse-Fribourg / Flughafen Basel-Mülhausen-Freiburg)へと飛んできました。これから5泊6日の日程で、大方の日本人旅行者の関心も高く、かつまた一般的な傾向とはかなりズレたところに意識と足を向けがちな私の興味も満たしてくれるエリアを旅してみようと思うのですが、今回はどういうわけか本編がはじまるまでにかなり難儀。まずはそこのところからお話しすることにしますね。
「ユーロエアポート」
8月28日(木)のお昼前に、パリの玄関口であるシャルル・ド・ゴール空港(Aéroport
Charles de Gaulle)にやってきました。搭乗予定の7744便は13時10分発なので、1時間くらい前に着けば大丈夫なのだけど、海外でのことでもあるし、こちらがミスしたり予期せぬことがあれこれ起きたりすることもあるので、早めを心がけよう。パリ左岸カルチェ・ラタンの常宿を10時すぎに出ることにして、この日は早起きして各種の予定をこなしてきました。まずは宿ちかくのカフェでモーニング・コーヒー。パリから他の国や都市に転戦する前の恒例行事です。そしてメトロでシテ島に向かい、これもパリを離れる日(とパリに着いた翌日)の恒例であるノートルダム参詣を果たしました。右岸側の散歩も少しできたので上々です。いったん宿に戻り、9時に郵便局が開くのを待って、パリで買い集めた研究用の図書・資料のたぐいを小包にして大学宛に発送。研究者である(たぶん)私が欧州にやってきた目的はこれで完遂というわけで、残り6日間はロスタイムですやね。午後イチの航空便だからというのでそこから逆算して、なかなか充実した朝を過ごすことができました。カルチェ・ラタンから空港までは込み込み1時間強を見込みます。いつものようにパリ市内と郊外とをむすぶRER(高速郊外鉄道網)のB線に乗って、終点のシャルル・ド・ゴール空港第2ターミナル2- TGV駅(Aéroport Charles-de-Gaulle 2- TGV)へ。今回利用するのは第2ターミナルの2Gというブロックで、本体(2A〜2F)から少々離れていると聞いており、実際に足を向けるのは初めてです。表示を見ると、いったん2Fに行ってからターミナル連絡バスに乗ってくださいということらしい。
2Fと2Gのあいだはかなり距離があり、ターミナル1と2くらい離れているような気がしました(あとで地図を見れば実際にそうです)。2Gは孤立したターミナルで、地方都市の空港みたいなサイズと外観。これから乗るのはエールフランスの国内線で、そういえばフランス国内を飛行機で移動するのは初めてだった。ともあれまずはチェックイン。自動チェックイン機にチケット番号などを打ち込んで、バッゲージ・タグを出力するしくみです。いまは日本語も使えるのでありがたい。キャリーバッグ1つを預けて身軽になり、あとは昼どきだから制限エリアで何か食べておきましょう。ただ、ターミナル1とか2の本体ならけっこう飲食店も豊富なのですが、ここは孤立した田舎風ターミナル。はたして、いかにも「待合室」というような長方形の空間に、5つくらいの売店と、飲み食いは軽食スタンドが2つあるだけでした。何だかな。文句をいったところで他に選択肢はなく、サラミのパニーニ(イタリア風のプレスサンド)€6.95と50センチリットルの生ビール€7.70を購入して、スツールでもぐもぐ。早めに来たため待ち時間は1時間半くらいあります。
シャルル・ド・ゴール空港2Gの制限エリア
これから帰国するわけでもないので買い物もないなと、売店などは眺めるだけにしておきます。そうして出発時間が近づいたころ、départ / departureの画面を見てみたら、7744便は出発時刻変更で、20分繰り下がって13時30分発とあります。予定時刻20分前までに来てくださいとボーディング・パスに書いてあり、チェックイン時にもいわれたのですが、見通しがよく大して広くもない空間なので、どこにいても乗りそこなうことはありますまい。が、その20分前がやってきてもアナウンスはなく、画面の表示も変わりません。そして、機体が動き出していなければならない13時30分を過ぎてもなお、何の音沙汰もない(マメ知識を申しますと、航空便の「出発時刻」は機体が搭乗口から離れて動きはじめるタイミングを指します。離陸にはなおしばらく要しますね)。だんだん不安になってきたので、1つしかない搭乗口のすぐ前に陣取り、様子を見てみますが、まったく動きがない。当初の搭乗時刻から1時間ちかく経過した13時45分ころ、初めてアナウンスが入り、7744便はテクニカルな理由により出発が遅れますのでそのままホールでお待ちくださいと。このターミナルからも1時間に7本くらいの便が出発しますので、定刻どおりの乗客が次々とわれわれを追い抜いて、機内へと消えていきました。14時を過ぎたころだったか、départの画面表示が急に変わりました。7744便はembarquement fermée / bording closedとなっているではないですか! どういうことだ、まだかまだかとウカウカしているあいだに搭乗が締め切られたということ?? ま、チェックイン済みであるため機内に不在となれば「お呼び出し」が入るに違いなく、とくに慌てたわけではないけれど、同じことを心配した周囲の20〜30人が手荷物をもって一気に動きます。長めの廊下を小走りで進み、指定された(というかこの時点で初めて明らかになった)26番ゲートまで来ると、それらしい機材もなければゲートも開いていない。1人だけいた若い女性の係官が、何が起こったのかという表情で乗客のひとりと話して、「ノーノー、いまバーゼル行きは飛びません。16時に延期です! それまでホールでお待ちください!」と全員に向かってフランス語で説明しました。何じゃそりゃ!!
テクニカルな事情で定刻どおりには飛びませんというアナウンスしか耳にしていません。私の語学力の問題かもしれないけど、周囲のお客も同じなのだから、やはり説明が何もなかったということですね。どうやらbording closedというのは「出発中止」のニュアンスだったらしいのだけど、本当に搭乗を締め切った場合も同じ表示なので、紛らわしいというより不当な表示といえます。エールフランスではなくパリ空港会社(Aéroport de Paris: ADP)の問題ですね。
退屈・・・
お詫びの食券
ようやく事態を理解した乗客たちは搭乗ゲート手前のカウンターに殺到して、個別に説明を受けています。ま、どうせすぐに飛ぶということでもないし、幸い乗り継ぎの予定があるわけでもないので、こちらが慌てることでもありません。テクニカルな問題をクリアしないまま飛行機を飛ばされても困りますしね。列の最後尾に並んで、ようやく順番が回ってくると、30代くらいの男性スタッフがやわらかな英語で「まことに申し訳ございません。新しい出発予定時刻は16時です。それまでホールでお待ちいただけますでしょうか」と。とかく身勝手で無責任といわれるフランスの公務員系統の係官にしてはずいぶん丁寧で、apologizeなんていう動詞を久しぶりに聞いた気がする(4年半前にブリュッセルで特急列車の発車を4時間くらい待たされたときにこの動詞を耳にしたけれど、自動放送だったので逆に頭に来た 笑)。そして、搭乗券と同じスタイルのお食事券(€8相当)をくれ、「お待ちのあいだ食事をなさってください」。食事といっても先ほどの軽食スタンドしかなく、サンドイッチは食べたから、生ビールでももらうかな。しかしスタンドの兄さんは「この券ではアルコールをご提供できません。こちらのサンドイッチの中からお選びください」と。遺憾ながらそこに選択したくなる食品はまったくなく、中途半端な時間帯に腹だまりのするものを口にしたくないこともあって、お詫びチケットは使いませんでした。どうせお詫びするなら自由な金券にしてくれよな。
さて16時ということは、15時55分発のバーゼル便よりも後ということになります。何だかなあ。ほんらい3時間あとに飛び立つはずの「後輩」たちを見送ってもなお7744便の召集がかかる気配がありません。そういえば、バーゼルのホテルをネットで予約した際にチェックイン予定を書いたかどうか失念しました。本当は15時半ころホテルに着いて、そのあと市内見物に出かけるつもりでいたのです。飛行機が何時間も遅れたあげくに宿にまでNo Show(予告なしのキャンセル)とみなされてもかなわないので、ホールにあった有料インターネット(13分€2)を開き、「フライトの大幅遅れでまだシャルル・ド・ゴール空港にいます。到着が夕方以降になりますがよろしく」と英語でメールを送信しておきました。一方通行メールですが、あとでホテルからThank you for informing us. We are happy to welcome you. Best
Regards, という旨の丁寧な返信が来ておりましたよ。
ようやく・・・
先ほどの男性係官は「15時40分ころ搭乗になりますので、その時間までにはお戻りください」といっていたのに、その時刻になっても何の音沙汰もありません。その間、「盗難防止のため手荷物には十分ご注意ください」というフランス語と英語の自動放送ばかりが流され、いらいらします。もういいや、今日中に着けばというくらいの気持ちになりかけたころ、ようやくアナウンスがあって乗客たちが動き出しました。実に16時50分、まるまる4時間の遅れです。国内便のローカル線なのでボーディング・ブリッジではなく地面を歩いて搭乗するというのは予想どおり(「国際線」であっても、2月に乗ったパリ→ダブリンなどそうでした)。お、プロペラ機だ。何かと話題のボンバルディアではなさそうだけど、プロペラとは予想外だったな。機内は2列×2でやっぱりかなり窮屈。私の席は前から2列目なのですが、多くのジェット機と異なり最後部からの搭乗になるため、いちばん「奥」に行かなければなりません。シートポケットに入っている「安全のしおり」によれば、これはATR72という機種らしく、あとで調べたところでは仏伊合弁会社ATRの開発したターボ・プロップ機。プロペラが高速回転している様子が窓からうかがえたものの、乗り心地はジェットとほとんど同じでした。エールフランスの機内サービスはもともとしょぼくて、この日はクッキー1枚と飲み物。いったん飛んでしまえば早いもので、18時を回ったころ目的地に着陸しました。ふう。
バーゼル(独
Basel)/バール(仏 Bâle)/バジレア(伊
Basilea)
スイス連邦
フランス語→ドイツ語→英語
ユーロエアポートのあるミュルーズはアルザス(Alsace)の最南部。アルザスの中心都市で、2010年に訪れたストラスブールから電車で50分前後ですから、パリからTGVを利用すればトータル3時間くらいで行けます。以前の私なら何をさておいてもTGVを利用したことでしょうが、フライトに対する抵抗感がなくなっていることもあってペックス航空券をとる際にパリからの便を一緒に押さえました。日本・欧州間はスターアライアンス(ANA)なので、スカイチームのエールフランスをはさめば割高になるのでしょうが、いいや、と思っちゃったのね。飛んでいる時間は短くても、双方の空港・市内間の移動を含めればTGVのほうがよさそうな距離ですし、今回のようにその何倍も待たされるとなれば損得の問題ですらなくなってきます。
ま、ただ、私が空の便を選んだもう一つの理由があります。それはこのユーロエアポートという空港自体への興味。かねてより、ものの本などで、バーゼルの空港はフランス・スイス・ドイツの国境地帯にあり、3つの国の都市の玄関を兼ねているのだと知っておりました。ここミュルーズはフランス領ですが、空港の経営はスイスと共同です。館内に貼ってある観光ポスターはアルザスのものばかりですし、何より大半の表示がフランス語です。しかし私がこれから行こうとしているバーゼルはドイツ語圏のスイス領。そして、ライン川を渡ればドイツ(もちろんドイツ語圏)のフライブルクです。アルザスの歴史的な背景なども考えると、ここがいったいどの国なのか、興味が尽きません。そういうマルチナショナル、マルチリンガルな様子をもう少し観察したかったけど、これだけ遅くなったので、とっととバーゼル市内に向かおう。バス乗り場のサインに導かれて表に出てみると、何となく様子が違います。よく見たら、ミュルーズないしフライブルク方面の専用出口でした。館内に戻って表示を見直せば、スイスはこちらという表示が、仏独英の3言語で掲げられています。指示に従って廊下を進むと、税関とか検疫のようなスペースがあるものの無人。スイスは欧州連合(EU)加盟国ではないものの、域内自由通行を定めるシェンゲン協定の加盟国ですから、いまは出入りに関しては国内と同じはずなのだけど、EU加盟国同士よりは少し強めの段差がありますね。
スイス専用の出口を抜けると、バーゼルSBB行きの2連接バスが待っていました。市内に宿泊する予定があれば無料だとサイトに書いてあったので、ホテルの予約票を運転士に示すと、あっさり「どうぞ」となります。これは普通の路線バスで、市内の各停留所に停まるのですが、空港を出てしばらくはフェンスに囲まれた妙な場所を進みます。なるほど、これはスイス側の取りつけ道路で、フランス領内に関しては周囲と接触しないままターミナルに乗り入れるようになっているのか。そのような非日常的?なところを抜けると、たくさんの緑に包まれた、ゆとりのある郊外の住宅地みたいなところに入りました。バーゼル郊外に違いなく、東急バスが走る目黒区あたりの感じに似ています。
空港→市内のバス
15分くらいでバーゼルSBBに着きました。予定を大幅に遅れて19時半を過ぎているのに、まだまだ明るく、夏場でよかったですね。SBBというのはスイス連邦鉄道(Schweizerische Bundesbahnen)つまり国鉄のこと。フランス語ではChemins de Fer Fédéraux
Suissesなので略称がCFF、イタリア語ではFerrovie Federali SvizzereでFFSになります。バーゼルはドイツ語圏なのでSBBを冠していますが、駅舎などにはSBB/CFFと独仏語を併記してあります。バス停の名にSBBとつけているのは、「国鉄駅に行く」ことを明らかにするだけでなく、隣接するSNCF(フランス国鉄)バーゼル駅と区別する意味もありそう。いろんな意味で国境の町ではあるのだけど、「周縁」なのではなく、これほどに往来が自由になってくると逆に大事な「結節点」ということになりそうですね。
スイス国鉄バーゼル駅前
この駅の周辺もゆっくり見学したいところですが、まずはホテルに行って荷物を入れてしまわないとね。予約した宿はライン川を渡った新市街側にあります。トラム(路面電車)で行くことになりますが、路線図を見ると最寄りの電停まで直行する系統はないようなので、少し手前のクララプラッツ(Claraplatz)まで8系統で行って歩くことにしよう。駅前広場にはトラムのプラットフォームが4面あり、8番を掲げた車両があったので運転士に「クララプラッツに行きますか?」と英語で声をかけたら、「ノーノー、これは逆方向。いちばん向こうのホームに行ってください」と教えてくれました。何となく駅前電停は「始発駅」という先入観があったのだけど、なるほどスルー構造であるわけね。親切な運転士さんはこちらが車両の前を横切る際に、「向こうだよ」と指をさしてダメ押ししてくれました。さて、空港バスと同様に、バーゼル市内に宿泊する人は市内交通乗り放題のチケットをもらえるのだけど、まだ宿にたどり着いていないし、スイス全都市の市内交通に乗れるスイス・パスは明日から効力を発生させる予定なので、この1乗車ぶんはチケットを買わなきゃ。ホーム上に券売機があり、シングルを指定したらCHF3.50とのこと。スイスの物価の高さは承知していますがやっぱり高いですね。小銭が足りないのでVISAを券売機に入れてチケットを入手しました。
電車は駅前エリアを抜けると、旧市街とおぼしき道幅の狭い地区に入っていきます。ちょうど日が落ちかけた「夕方」で、会社帰りの人や夜の飲み食いに出かける人たちで車内も込んでいるし、町にも人があふれています。予想以上ににぎやかな町だな〜。そして市街地が広い。街路に並べたテラスで宴会をしている人たちがたくさん見えます。こっちも早くビール飲みたいよ。旧市街の中心らしいマルクトプラッツ(Marktplatz)を抜けると、電車は右に大きくカーブして、ミットレレ・ライン橋(Mittlere Rheinbrücke)でライン川を渡ります。町なかを流れる大河というのもなかなかいい眺めで、散歩が楽しみ。クララプラッツは右岸側に渡って2つ目の電停でした。そこから東に2ブロック歩いたところの角に、ホテル・ラインフェルダーホフ(Hotel Rheinfelderhof)の看板が見えました。どうやら0階はレストランのようで、テラス席で夕食を楽しんでいる人たちがいますね。
ホテル・ラインフェルダーホフ
さっそくチェックイン。20代と見える若い男性が迎えてくれ、バーゼルの地図と、市内交通乗り放題のチケットをくれました。部屋は2階(日本式に数えれば3階)の角部屋で、広々としており、立派なライティングデスクやソファを備えたグレードの高いものです。1泊朝食つきでCHF135もするのだから当然か。スイスは宿代のほうも全体に高めです。いまどきの設備としてWi-fiが通じているのは当然として(ここは無料)、タブレットのプラグを差し込もうとしたらアダプタが合いません。スイスの穴はC型と聞いており、フランス式とドイツ式の両方をもってきているので大丈夫かと思ったら、やたらに凹穴が小さい。日本のコンセントが平面型であるのに対し、欧州は凹穴の奥に差し込み穴をつくってあるところが多く(フランスは違うけど)、こんなこともあるんですね。かつてドイツのカールスルーエでも似たようなことがあり、フランクフルトの電器店でアダプタを買ったのだけど(それを今回ももってきている)、バーゼルは大都会みたいだから明日どこかで買えばいいか。とりあえず今夜のぶんをというのでレセプションの兄さんに相談したら、ホテルのものを貸してくれました。最初に借りたものは合わず、一緒になってあれこれ思案した結果、日本のプラグをドイツ式に接続し、その先にドイツ式→スイス式のアダプタを接続するという2段構えのやり方で解決。「どうでしたか?」と心配そうに訊ねる兄さんに、Perfect!!と親指を立てて謝意を伝えました。
トラムに乗って夜の旧市街へ マルクトプラッツは静かです
余計なことで時間を取られてしまいました。もう21時が近くなっているので、町歩きのゆとりはありません。晩ごはんを食べにいこう。ホテル周辺の新市街もけっこうにぎやかですが、電車のチケットをもらったところなので、ライン川を再び越えて旧市街に戻ってみよう。今朝まで滞在していたパリは21時でも十分に明るかったのですが、だいぶ東に来たのがわかります。ミットレレ橋を渡り、マルクトプラッツで下車。さっき通ったときにはかなりの人がいてにぎやかだったのに、何だかがらんとしています。ピークを過ぎたのかもしれません。欧州の旧市街では、メインストリートと直行する狭めの道路沿いによい飲食店があることが多く、時間があればその流儀で探してみるところですが、あまり遅くなってもね。いまトラムでマルクトプラッツに来る途中、ミットレレ橋の近くにレストランのようなものが見えたので、そこに行ってみよう。
そこはRestaurant & Bierstube zum
Stadtkeller Baselという店のようです。シフレンデ(Schifflände)電停の目の前で、こちらが電車から店を見つけたように、窓の外を電車が行き来するのが見えてなかなかよろしい。オーダーを取りにきた若くて美人のおねえさんにとりあえずビールを注文。ラージとスモールはどっちにしますかと聞かれて、反射的にラージと答えてしまいました(笑)。店名からしてビアケラー(ビアホール)で、ドイツ語圏でもあるからビールが美味いに違いない。時間も時間だし、昨夜もパリで肉のかたまりをごっつり食べてきたこともあり、おつまみ程度でいいや。ただ、そこはやはりスイスで、ほとんどの料理がCHF20〜40くらいします。貧乏旅行ではないのでケチケチするつもりもなく、滞在中にまた肉をどかんと食べる機会があればいいやというので、ソーセージのサラダ、ガーニッシュ(Sausage Salad 160g, garnished)というのを発注しました。英語表記なのは、こちらが英語で「こんばんは、1名です」と声をかけたので、英語のメニューをもってきてくれたからです。そこで「ボンソワール」といっていればフランス語になっていたことでしょう。まずバゲットが運ばれたのでこれをアテにして生ビールをごくごく。普通のラガーですね。店内は「食事」と「飲み会」の人がそれぞれいるようです。ややあってサラダが運ばれてきました。サラダ菜、キュウリ、ニンジン、トマト、タマネギなどに、なるほどソーセージ(ほとんどハム)の薄切りが大量投入されていて、フレンチ・ドレッシングがかかっています。欧州の大衆的な店で食べると、生野菜にかけるドレッシングが多すぎて口の中が油っぽくなり、これはどうにかならんもんかなといつも思いますが、そういう文化なのでしょう。材料を切って盛りつけただけの料理なので、美味いもまずいもないのですが、先ほどのおねえさんをはじめ、何人かのスタッフがテーブルの横を通るたびにIt is good? と聞いてきます。はいはい、グッドグッド(笑)。これは、ひとり客に対する欧州流の基本的な接客マナーですので、わずらわしく思っても微笑んであげなければなりません。ビールがCHF8.00、サラダはCHF20.50でトータルCHF28.50。ということは、パンはチャージ料扱いではなく(イタリアやポルトガルはそうですね)、フランス式に無料付加なのかな。
お店の前の電停からトラムに乗って新市街に戻り、上等なホテルで休むことにしよう。いい部屋なのにミニバー(飲み物の入った冷蔵庫)がないのは不思議。寝酒を買っていないのですが、こちらに来るとどうしても摂酒量が増えますので、ちょうどよいかもしれません。エールフランスが予定どおりに飛んでいれば、旧市街見物くらい今日のうちに済ませておけたのに、バーゼルに来てビール1杯飲んだだけというのは物足りないですね。まあそういうこともあるか。
*この旅行当時の為替相場はだいたい1スイスフラン=115円、1ユーロ=137円くらいでした
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