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やっぱり飲み食い編 |
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ムニュ(Menu コース) €15.90 瓶ビール 33cL(Kronenbourg 1664) €4.00
パリ到着直後にムフタールの坂を登るのは十数年来のルーチンですが、最近はいまいちパッとしないことが多いので安定の店でいいや。ここは味と質がよくサービスの態度もよいので。フランスに着いたらまずはビーフを食べたいのでさっそくステーキ。いつもなら赤ワイン(銘柄ものではなく、いわゆるハウスワインです)の小ピシェだけで済ませるところ、なぜだかのどが渇いていたので「とりあえずビール」を発注してしまいました。加齢のせいかアルコールの分解速度がゆるくなったような気がするため、国際線機内での摂取をなるべく抑えようとしていて(以前は飲み放題なのをよいことにビールだけで6、7本くらい、他にワインなども飲んでいた)、そのぶんの「渇き」もあったのでしょう。 肉はたいていレア(saignant)で頼みます。ただちょっとレアすぎるような感じですね。たまにはミディアム(à point)にしたほうがいいかな。すっかり腹いっぱいになったものの、デザートにはフランス流にチーズをとりましょう。カマンベールとブリとロックフォール、かな?(あまり詳しくない) 食後にチーズという発想はいまだによくわかりませんけどたまには現地の感覚にお付き合いします。フランスの流儀として、あらためてバゲットとナイフが運ばれます。これ用にワインを1杯ぶんくらい残しておきましょう。青カビ系のチーズを美味いと思えるようになったのはわりに最近です。 |
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カモのロースト ハニーソース、ドーフィネ風グラタン、インゲン添え
常宿のすぐ近く、サン・メダール教会の前にあるカフェ兼レストラン。ムフタール坂下というべき位置ながら、坂の飲食店よりも質的にかなり優れています。こちらは観光向けではなく地元向けでしょうね(とはいえ私の顔を見てすぐ「英語メニューお持ちしますか」といってきました。いまどき英語メニューはパリでも当たり前になってきましたね)。店名のとおりワインのセレクトがよく、たいてい黒板に記されている「本日のワイン」を注文します。カオールはボルドーの内陸側で、以前は東京でもしばしば飲んでいましたのでなつかしい。カモ肉はオレンジとかアプリコット、あるいは今回のハチミツのように甘い味のソースをかけるのが定番です。こういうのをカジュアル・レストランで食べると「フランスに来たなあ」と実感しますわね。ドーフィネ(王太子)風グラタンというのはポテトとかひき肉を重ね焼きのようにしたタイプで、これもサイドディッシュとしてよく出てきます。そういえば、フランスの料理店でインゲンをくったくたにするのが気に入らなかったのだけど、最近はぱりぱりのところが増えてきた気がします。ここのもぱりぱりでした。バイトデビューしたばかりなのか経営者の子どもさんなのかハイティーンとおぼしき男の子がサービスにあたってくれ、別の店員にあれこれ訊ねるなど、明らかに不安な表情を隠せません。こちらの飲食店では客側がわがままにあれこれいうとか、いつまでもおしゃべりしていてオーダーしなかったりなのが普通なので、客あしらいに慣れるまでは大変でしょうね。「美味しいよ、いつものように」といってあげました。 |
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リブロースのステーキ、クルミのサラダのセット 赤ワイン グラス(Verre
tarn réserve) €4.50 フランスをはじめ世界各都市に展開する謎のチェーン。この€26.50のセットしか出さないのでオーダーは焼き方と飲み物、デザートだけです。限られた空間にテーブルを詰め込んであるため、かなりのお客が一斉に同じ料理を食べているという、ある意味すごい構図ね(笑)。守備範囲を明確に決められた店員さんの動きが機敏で気配りもあり、なかなかよろしい。客の注文を紙のテーブルクロスに直接メモするのも昔からの流儀ね(上左の写真 Sはレアsaignant、Vrはグラスverreの符丁と思われます)。前菜のクルミのサラダがけっこう美味い。肉はスライスされた状態で供され、日替わりのソースが添えられます。写真の肉は半身で、残りは近くのサイドテーブルで保温され、あとからもってきてくれます。フライドポテト(pommes frites)がわんこそば方式なのも伝統ですな。それにしても久しぶりにこのチェーンを利用した感じです。このサン・ジェルマン・デ・プレ店は、15年くらい前にシラク政権時の(日本式にいえば)中教審委員長だった先生に連れてきてもらって、「さあどんどん食べなさい」とごちそうしてもらったところ。なつかしいね。私がエラくなったら東京でお返ししますねといったけど、こちらは一向にエラくなる気配も、たぶんその気もあまりないです(笑)。ただ、ランチに€26.50を躊躇なく出せる程度にはなりましたけどね。 |
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パエリア €12
ルーヴル美術館地下入口は、おなじみガラスのピラミッドよりも列が短いのでおすすめです。と思ったらテロの影響なのかお客が少なくて、正午前なのにするっと入れてしまいました。その地下入口に面してカルーゼル・デュ・ルーヴル(Carrousel du Louvre)というショッピング街があります。清潔でディスプレイのセンスもよいため居心地がよい。その一角に「世界のレストラン」(Restaurants du monde)というフードコートがあり、フランス、イタリア、中華、モロッコなどの料理も出店しています。もちろんマックもスタバもセガフレードもあるよ。本式の飲食店だとどきどきしてしまう入門者も、この手のセルフレストランなら大丈夫でしょうね。フードコートなのであれこれ食べ合わせることもできます。Mira! はスペイン料理の店らしく、大きな鍋に盛られていたパエリアを頼みました。大きなチキンやエビ、ムール貝が入っていて美味しい。 |
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油淋鶏(poulet croustillant chef) €9.00
このところ横浜探険と連動して毎度のように訪れる13区中華街。ただ実際にはベトナム料理やタイ料理、あるいは中華を偽装?したタイ料理店などが多いので、われわれが想像するような中華料理店はあんがい少ないのです。ここは中華街入口に面した比較的大きな店で、ど真ん中すぎるなと思っていままで避けていたのだけど、試してみよう。シューマイは、アンを硬く握り込みすぎて食感がよくありません。ふわふわの日本式に慣れてしまったからかなあ。そういえばかつてはこういうごりごりのシューマイとかメンチカツって当たり前だった気がします。酢醤油ではなくホットチリペッパーが添えられました。なぜか東南アジア風(こちらの中華店ではテーブルの醤油さしの横にチリペッパーが置いてあります)。油淋鶏はパイコーみたいに骨つきのまま揚げているんですね。肉がよいのかかなり美味しい。横浜で食べるのより酸味が薄く甘みが強くて、コロモの感触といい記憶にある味だなと思い返してみたら、「名古屋の手羽先」に近い味でした。19時すぎに入店したとき先客は2組くらいでしたが、19時半くらいからグループ客(大半は中国人または在仏華僑)が続々と現れ、一気ににぎやかになりました。雰囲気だけ見るとパリにいる気がしなくなりますけど、紙のテーブルクロスにダミーのお皿やグラスがあらかじめセットされている様子なんかはパリそのものですね。なお実際に誰が経営しているのかは別にして、13区中華街は19世紀後半にはじまるので、各種の表記は簡体字よりも繁体字が目立ちます。この点は横浜も同じ。 |
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中華街にあるスーパー唐氏兄弟(Tang frères)で買った青島の「純生」 一応ここはパリです |
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