Vers la région
nordique ou l’Europe du Nord!: le Danemark et la Suède
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真夏はどこへ行っても日差しが強くて、暑い。ならばできるだけ北へ、高緯度のところに行こうぜ! 真夏じゃなくても行くけどね。パリを足場にしているのと、ある時期まで鉄道による移動が主だったこともあって狭義の「西欧」から攻めていったわけですが、そろそろバルト海方面、北欧(Nordic Region)と呼ばれる地域に踏み込まなくては! 西欧のことを「西ヨーロッパ」、東欧を「東ヨーロッパ」と呼ぶのは普通だけど、北欧を「北ヨーロッパ」と呼び替えるのは何かニュアンスや雰囲気が違う気がする。さわやかさや上品さ、スマートさが感じられますよね「ホクオウ」には。2015年の夏は、8月下旬に本業で大変な作業が入ってくることが確実だったため、前期の成績処理を全力で終わらせて8月上旬に欧州に渡りました。パリからコペンハーゲンにスカンジナビア航空(SAS)機で飛んで、そこから4泊5日をかけてストックホルムまで進もうというプランです。北欧初心者の王道のようなコースだね。 8月8日(土)の朝9時前に、パリの空の玄関、シャルル・ド・ゴール空港(Aéroport Charles de Gaulle: CDG)第1ターミナルにやってきました。CDGはエールフランスのハブ空港なので、同社ほかスカイチームは新しくて使い勝手のいい第2ターミナルを使用するのに対し、わがスターアライアンス各社は1970年代に建てられた第1ターミナルに押し込められて?います。フランクフルト空港(スターアライアンスのルフトハンザのハブ空港)とか、今回使うコペンハーゲンあるいはストックホルムの空港(同じくスターアライアンスのSASのハブ空港)では見てやがれ! ANAユーザーの私は第1ターミナルの構造はもう熟知していますので、パリの常宿からここまで寸分の迷いもなくやってきたわけです。――そこで私が見たものは・・・ まさかの・・・
うわー大変だ。この多客期に欠航されると振り替えも利きづらいに違いない。でも、大変だとかいいながら、さほど動揺したり動転したりはしていなくて、まあそういうこともあるんだろうなと妙に冷静でいます。長いこと欧州各地を歩いていると大小さまざまなハプニングやトラブルに遭遇しますし、それを恐れたり懸念していたりしては何もはじまらないので、まあいいかと思っているわけです。それと、昨年8月にここCDGからスイスのバーゼルに飛ぶ予定の航空便が機材トラブルとかで5時間近く遅れたし、12月にロンドンからウェールズのカーディフに向かう鉄道が事故で全面運休となり別の路線で出発することになるなど、このところ初日にちゃんとスタートを切れるかどうかが怪しくなっていました。二度あることは三度あるのです。 通常であればDeparture / Départのリストで搭乗する便を探し、チェックインカウンターのナンバーを確認するところ。しかし欠航なので、航空会社のカウンターに行かなければ。インフォメーションでSASのカウンターを訊ねると、この先のアリジアという場所に行ってくれと。なるほどAlyziaと書かれた大きくないカウンターがあり、すでにかなりの人が列をなしています。何がどうなっているのかわからないながら、ここに並ばないことには問題が解決しません。何が原因で欠航したのか、これからどういう可能性があるのかという案内があるわけでもない。列の先頭に行って係員と直接話すまで「???」という状態がつづくのでしょう。いずれにしても正規の航空券をもっている以上、コペンハーゲンまで輸送してもらう権利はあるので、状況に身をゆだねるほかありません。でも列が長くなるばかりでほとんど進まない。他の乗客はスマホで情報収集を試みたり、どこかに電話して代替の手段をさぐったりしています。近くにいたグループ客の幹事さんらしき女性は、旅行会社の係員らしき人を電話で呼び出し、きつい感じで善処を求めています。45分くらいかかって最前列にたどり着き、野中ともよ風の女性係員に「eチケットお客様控」を示し、当方の名前を入力してもらいます。古賀というパッセンジャーがいる、という情報を認識してもらわねければいけませんからね。で、どうなるのかどうするのかと英語で訊ねても明確なことは何ひとついわず、カウンター周りを指してwait hereと2回繰り返すだけ。 カウンターに列をなす人たち
カウンターのそばに、段ボール箱を含む大荷物を携えた若い日本人男性がいて、明らかに不安の表情を見せています。旅先で日本人と出会うのもよしあしなので普段は声をかけたりしないのだけど、あまりにヒマだったので「疲れるね」といったら、「日本人の方ですか! どうなっているんですかねえ」と、先方はようやくコミュニケーション可能な人に出会えたという様子。「朝の6時に上海からの飛行機で着いて、欠航っていわれ、どこにも行けず何も食べられずトイレにも行けていません」というから、荷物を見ていてあげるからお手洗いにいっておいでと促しました。時間はたっぷり(笑)あるので少しずつ話を聞くと、春に大学を卒業したばかりのN君は、ハンドボールのプロをめざして本場らしいデンマークに向かう途上とのこと。企業に就職するのではなく、競技をつづけてさらにレベルアップさせたいが、国内にはその環境がないので欧州行きを決意したのだといいます。好きな道とはいえ、未知の外国に渡ってスポーツをしようという決断はそうそうできるものではないので(失礼ながら日本国内でマイナー種目であればなおさら)大したもの。それも、欧州に来たのはまったくはじめてなのだといいます。日本時間の7日午後に那覇空港から上海に飛び、そこから12時間かけてパリCDGに着き、本来ならこのSK566便でコペンハーゲンに向かって、さらにそこから鉄道でオーフス(Århus)へという、まる2日がかりの大移動。それなのにそれなのに、第一歩にしてこのハプニングになってしまいました。
高等教育の今日的変容などの話題でご主人とも妙に話が合うなと思ううち、野中さんが「何か召し上がるなどしていてください」とかいうから、何時までに戻ればと4、5回訊ねたものの、それについては言質を取られたくないらしくいっさい答えませんでした(別の人も)。SASのチェックインカウンターに行けば食券を出してくれるかもしれないという話も出たので行ってみたら、まったく話が通じていなくて単なる搭乗手続きだと思われたらしく、他の被害者?ともども「ここに行けといわれましたよ」と。しかしチェックインカウンターは「欠航に伴うチケッティング(発券作業)はすべてアリジアというところでしています。アリジアは向こうにあります。そこに行ってください」と。そのアリジアにいわれて来たんだよといっても埒が明きません。どうなっているのかな? そのうちANAのNH206便成田行きのチェックインカウンターが開き、日本人客やスタッフがぱらぱら現れるようになりました。ANAの地上係員の女性に適切な対処を聞いてみました。――他社のことで恐縮なのですが(スターアライアンスメンバーだから話を聞いてよね)、これこれの状況なのです。これは相手のいうままにするしかないのですか? 「ええ。もちろん権利を放棄してチケットを買いなおされるのならばそれでもよいのですが、ご自分持ちになってしまいます。残念ながらよくあることです」。彼女の説明では、アリジアというのはSASはじめ数社の委託を受けて発券業務をおこなっている会社らしい。合理化の一環で、平常時ならそれでもよいが、こんな事態になっても4人しかいないから進展しないわけだ。欠航が生じれば乗り継ぎ便を含めた最終目的地までを航空会社の責任で補償しなければならくなるため、獣医先生の奥さんがいうように、乗り継ぎ予定がないわれわれは処理が後回しになるのだそうです。ANAさんの予想では、おそらくホテルをあてがわれて翌日まわしになるのではと。私もそんな気がしてきました。
被害者仲間のひとりは快活な中年女性で、どこの国の人かは聞き逃しましたが、流暢なフランス語と英語を話しており、「子どものころ日本に住んでいたから少しだけ日本語できるのよ」と。その彼女とおしゃべりしながらホテルにチェックイン。あ〜疲れた。聞けば、彼女の振り替え便はアムステルダム乗り継ぎ、アジア系の女性はブリュッセル、シャイな感じの若い白人男性は何とリヴァプール乗り継ぎだといいます。N君のチューリヒといい、ずいぶんいろいろな可能性を模索してコペンハーゲン行きを仕立てたんですね。私のルクセンブルクなんて相当にましじゃん。そんなことを手作業で全員分していれば時間もかかるはずで、こういうのを自動的に処理するシステムとかプログラムってないものか。
そんなわけで、今朝の逆ルートでRER(高速郊外鉄道網)B線に乗ってまさかのパリ都心に逆戻り。10年くらい前、NH206の出発が4時間くらい遅れますと聞いて(当時は座席確保のため3時間以上前にチェックインしていたので持ち時間がかなりあって)、パリに戻って晩ごはん食べたことはあるのですが、今回は1泊だからねえ。荷物を置いて身軽になったN君、デンマークへの経由地にすぎなかった空港を脱け出し、欧州の第一歩はまさかの花の都パリ。ノートルダム寺院を見るなり、すげ〜と心からの感嘆でした。サント・シャペルとかコンシェルジュリなどシテ島を少し歩き、ああそうだと思い出してシャンジュ橋(Pont au Change)を右岸側に渡ったところで遠くエッフェル塔を見せてあげました。あの橋の向こうに見える大きな建物がルーヴル美術館だよ。余計なお世話かもしれないけど、欧州ってすごいんだぞ。とくにパリはね。
さて私が翌日どうしたのかというと、やっぱりパリに行くしかないわけね。何とびっくり空港と都心を結ぶRERに2日間で5回も乗るというファンキーなことになったわけです。といってもイチゲンの観光客でもビギナーでもないし、さよならまたね〜と立ち去ったカルチェ・ラタンに舞い戻る気もしないしで、なぜかシャンゼリゼへ直行。しばらく前までパリは好きだけどあそこはどうも、といいつづけていたシャンゼリゼに、ここのところは毎度足を運んでいますけれど、他に思いつかなかったとしても何でシャンゼリゼだったんだろ。たぶん内心で、「いまパリに(遺憾ながら)いるよ」ということを体感したいという思いがあったのではないかな。のんびり町を歩き、ほぼ初めての地区で昼ごはん食べて、もう戻らないからねという思いで空港に引き返しました。
ルクセンブルクには正味1時間もかからずに着陸。首都ではあるけれど日本ならローカル空港というべき規模で、階段を登ったらそこがもう制限エリアの出発待合室でした。インフォメーション・カウンターみたいなところにパスポートと例の手書きを示して乗り継ぎ便の搭乗券を発券してもらいます。SK2584便は20時05分発ながら20分遅れると表示されました。もうその程度の遅れは勘定しなくてもいいよね。ただコペンハーゲン着が定刻でも22時10分なので市内に入るのが23時を回るに違いなく、食事とか買い出しはできないかもしれない。それなりの品揃えがあった免税店で、寝酒としてスパークリング・ワインのハーフボトルを€4.20で求めました。ルクセンブルク産とあり、たまたま経由のご縁で結構じゃないですか。ルクセンブルクはリースリング系の白ワインの産地なのでスパークリングもいいはず(地理的にはシャンパーニュにも近い)。それと、何か食べるならいまのうちなのですが、空は明るくてももう20時近くなので、カフェテリアの食べ物はほぼなくなっていました。ケースの中にかろうじて残っていたのは寿司。にぎりと巻き寿司があったので後者をチョイス。€6でした。欧州らしくサーモンばっかり(笑)。フランスでも寿司はポピュラーで、巻き寿司のことをmaki(たいてい複数形なのでles makis)というので、フランス語圏であるルクセンブルクの空港でもマキを1つといったら速攻通じました。欧米人は海苔が苦手というか黒くて不気味だというので、半数は逆巻き(ネタのサーモンが外側になっている)になっていますね。コペンハーゲンで美味いものを食べられるかどうかの知識はないながら、安物の巻き寿司でまさかの夕食だよ。しかも「遅れる」っていっていたはずなのに定刻にゲートが開いたので、機内持ち込みになってしまいました。
地平線の向こうに太陽が沈んだころ飛行機は高度を下げました。陸と海とが入り組んでいる様子が見て取れます。デンマークは凸凹のない国で、最も標高の高い地点でも170mしかありません。海岸まで山が迫っているようなわが列島の景観とは、したがってまったく違いますね。定刻どおり22時10分にコペンハーゲン・カストラップ空港(Københavns Lufthavn, Kastrup)に着陸しました。入国審査は当然ないし、とっととバッゲージ・クレーム(預け入れ手荷物の請け出し)を済ませて非制限エリアに出てみれば、そこがすぐ鉄道やバス、タクシーの乗り場に直結していて非常に使い勝手のよい空港でした。さっそくøみたいな知らない文字とか、見慣れない綴りなどがたくさん。これまでデンマーク語やスウェーデン語などの北欧諸語に触れたことはなく、苦手なくせに言語マニアである私としては気分が盛り上がります。そうした言語のアウェイ感とともに、フィンランド以外の北欧諸国はユーロを導入していないため、見慣れない、そして何より相場感覚がわかりにくい通貨を使わなければなりません。東京で500デンマーククローネ(DKK)だけ両替してきました。「1万円くらい」といったらその近似値が出てきたのですが、滞在時間がかなり短くなってしまったので大半を使い残すことでしょう。さっそく100 DKK紙幣を券売機に差し込んで中央駅までの鉄道の切符を購入(36 DKK)。穴の開いたコインのおつりがじゃらじゃらと出てきました。
この駅はホームが地平にあり、コンコースはそれを覆うように上階部分に造られたいわゆる橋上駅舎になっています。そのためコンコースから駅裏に向かうためには階段を1フロアぶん下がる必要があります。コペンハーゲン・スター・ホテル(Copenhagen Star Hotel)はすぐにわかりました。レセプションの若い兄さんに名乗ると、「ああ古賀様、ついさっきあなたのメールを拝見しました。申し訳ありません」だと。あとで返信を確認したらGmailの2通はやはり不達のままなので困ったものです。ITだのみになってはいかんね。「航空便が欠航になったのですね。よくあります、そういうことは」と。当然ながら1泊ぶんを払い戻しますとかいう話にはならず、No showでキャンセルされなかっただけましと考えておきましょう。
*この旅行当時の為替相場はだいたい1ユーロ=136円くらい、1デンマーククローネ=18円くらい、1スウェーデンクローナ=14円くらいでした。
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