12月29日(火)、日本式にいえば仕事納めの日です。このところずっとクリスマス〜年末を欧州で過ごしていますので、暮れの慣習みたいなものがどうだったのかを忘れかけています。もともと大学の教員はカタギのカレンダーとはちょっと違うところで生活しているような面があるので、まあいいでしょう。この日はマルタ国際空港を13時15分に出る便でフランクフルトに向かうことになっています。空港まではタクシーで20分足らずだったのだから路線バスを利用しても小一時間をみれば余裕で、最近の厳戒態勢などもかんがみれば余裕の余裕ということで10時半くらいに出ればよいと思います。8時に朝食。同席のお客と会ったのは初日以来でした。毎朝同じベーコンエッグで、1つ目玉という当方のリクエストをずっと覚えていてくれています。料理が全体に英国式なのにコーヒーはマシンの関係なのかエスプレッソ。朝からエスプレッソはあれなので、シリアル用に置いてある牛乳で薄めていただきます。
10時過ぎにチェックアウトしますが、その前に町を歩いてきますねと奥さんに告げて、表へ。肝心のときに不在になられると出国できなくなります(笑)。まだ9時なので町は半分眠っています。それでも、パン屋さんや、なぜか肉屋さんなども営業しています。そういえばヴァレッタには食品スーパーらしきものを見かけません。飲食店を含め、ほとんどが間口の狭い個人商店です。こういうところも何だか現代離れした感じで情趣を抱かせるのでしょう。もう地理は万全。こんなに会得しやすかった町は初めてです。
ヴィクトリア門につづく坂道 ヴァレッタの朝は建物が白く輝いて独特の美しさを魅せる
着いた日にまず歩いたのと同じルートに進みました。宿のすぐそばを右折すると急な下り坂で、その先にグランド・ハーバーが見えています。せっかくなので半島の先端、つまり聖エルモ砦のほうをぐるりと回っていくことにしよう。初日に見た景色とまったく同じですが、何が違うのかといえば、対岸のスリー・シティーズや聖アンジェロ砦を含めて自分の足で歩いており、景観にリアルな情報が含められたという点です。心理学的にどういうのか知りませんけれど、土地への「なじみ」というのはそういうことなのだろうと思う。それもあって、事前に現地の写真やストリートビューなどを過度に見ないようにしています。切り取られた情報は、ときにその場での想像力をゆがめますのでね(といいながらこういう作品では現地の写真をばんばん出しています。実際にいらっしゃる方は、あくまでご参考までに)。あ、スリー・シティーズに向かうフェリーがハーバーを横切っていきました。
ロウヤー・バラッカ・ガーデンからの眺めにも何だかアウェイ感がなくなりました。アッパーのほうもそうなのですが、いろいろな記念プレートがはめ込まれています。そのうちの1枚は、1957-2007 In
varietate concordiaとあります。ラテン語はよくわかりませんが、コンコルドないしコンコーダンスなので調和とか合意といったことでしょう。1957年は欧州連合(EU)の前身の1つ、欧州経済共同体(EEC)が設立された年で、50周年ということなのでしょうけれど当時マルタは独立前なのでどういう含みがあるのかはわかりません。そのあとマルタ語と英語で簡単な記述があります。英語を頼りに読めば「ヴァレッタと欧州議会(European Parliament / l-Parlament Ewropew)は欧州の諸国民のあいだで50年間もの平和と繁栄が存したことをともに祝福します」とのこと。そして例のEUのモットーである「多様性の中の統合」(United in diversity / Maghqudin fid-diversita)が太字で記されていました。「統合」といちおう書きましたけれど、united(フランス語だとunie)と過去分詞になっています。つまり「統合されてきた・・・(私たち)」という歴史的経緯とその結果をわりに動的に刻んでいるわけです。2015年、EUの苦悩はますます深まりました。2004年加盟の「新参」であるマルタ共和国は、もしかすると統合の恩恵よりもしわ寄せのほうを多く受け取ってしまうのかもしれません。これからどうなっていくのでしょうか。人口40万人ほどの小さな小さな島国ですが、これも堂々たる欧州連合の構成国なので。
聖エルモ砦のそばからリパブリック通りに入り、多少じぐざぐしながら坂道を登って、パレス広場に戻ってきました。これも初日とほぼ同じ動き。「地球の歩き方」は、バスターミナルからリパブリック通りに入ってそのまま歩いてください、というようなナヴィゲーションになっていて、それは非常に真っ当なのだけど、私は逆にその道路の終点付近から逆流してきたことになります。目抜き通りの末端部分は単なる生活道路、それも急坂というのが意外でしたが、かえってヴァレッタの町を知る手がかりを得られたような気もします。私がタクシーでなく路線バスで市内入りしていたらガイドブックと同じ行程を踏んでいたに違いなく、どちらがよかったかはわかりません。
朝食前に荷物のパッキングはおおかた済ませてあったので、歯みがき洗面など入念にしてから、4泊を過ごした最上階の部屋を後にしました。前日の朝食後、ご主人に呼び止められ、「明日は私が不在で家内だけになるので、できればいま精算していただけますか」といわれそのとおりにしていました。4泊込み込みで€450ですから安くはないものの、朝食つきでこのレートなら高いわけでもなく、観光地相場であることを考えて、また部屋の広さも考慮すれば上々だと思います。このうち€30弱はVAT(消費税)。マルタ共和国の税率は7%なんですね。英独仏などが軒並み20%前後、4ヵ月前に訪れたスウェーデンが25%であることを思えばずいぶん低い。これでやっていけるくらいの財政状況なのでしょうか。そんなわけで前日すでに精算済みのため、奥さんにカギをお返ししてあいさつしました。――初めてマルタに来ましたが、おかげさまで有意義な滞在でした。「それはよかったです。今日はこれからどちらへ?」
――フランクフルト・アム・マインです。しかし明日の朝には日本に戻らなくてはなりません。「ああ日本から来られたのでしたか。私の知人(兄弟だったか?)の娘が日本人と結婚して大阪に住んでいるので、いずれ行ってみたいと思っています」
――そうですか! 私は東京に住んでいます。「東京? 話によると、何だかとてつもなく巨大でミステリアスだとか(笑)」 ――まあそうですね。でもぜひいらしてください。お元気で。
(左)ロイヤル・オペラ・ハウス跡付近のリパブリック通り (右)ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の訪問を記念したレリーフ
奥さんは「タクシーを呼びましょうか」といってくださいましたが、時間はたっぷりあるし、ヴァレッタの町をゆるゆる歩きながら行くほうがいいので、そのようにいって遠慮しました。朝市の出ているマーチャント通り、朝っぱらから歩行者があふれているリパブリック通りを通り抜けて、中央駅にあたるバスターミナルへ。観光客の視点でいうなら、このターミナルはいろいろと改善の余地があります。とにかくプラットフォームが多いので、どの路線がどこから出るのかが一発でわかりません。鉄道の駅にあるようなDepartureのボード(電光ないし液晶)があればいいんですけどね。それと、発着ホームがしばしば変更になるらしく、案内図と個々のホーム、さらにはネットの情報が不一致だったりします。このへんの改善をぜひ。
ヴァレッタ バスターミナル
空港を経由する系統がどれなのかがいまいちはっきりしないのも残念です。空港アクセス便を一般路線とは分離して運行するほうが観光立国としてはよいような気もしますが、あまり差し出がましいことはいわないほうがいいかな? 専用プラットフォームに専用車体、専用の系統というのが、まあベストですね。確実を期して、空港行きはこのホームですかと、案内に立っている係のおじさんに確かめると、「5分ほどお待ちください。X4というのが来ます」と明確に。何度か利用した普通の路線バス(1回利用で€1.50)ですので、荷物置き場があるわけでもなく、買い物帰りの人などと同乗になります。当方と同じようにスーツケースをもった人が、それでも10人ほど。すぐ前の席に幼い姉妹を連れた日本人のご夫婦が乗っていて、どこで降りるかなどと相談していますが、荷物がないので空港ではなくその先のどこかに遠足なのでしょう。あとで調べると、X4系統は空港を出たあと島の最南端に向かって進み、マルサシュロック湾のほうまで足を伸ばす模様です。
バスは新市街を抜けて郊外みたいなところに入りましたが、方向が定まらず?ぐねぐねと進みます。あちこちの地区のお客を拾っていこうとするので複雑な進路になるのですね。欧州の路線バスではしばしば経験することで、日本でも地方の農漁村などに行くとそういうことがしばしばあります。こうなったらますます空港専用をつくればよいように思うものの、タクシーが€15の固定料金(私のときはクリスマス付加の€20)なので、そっちを使ってくださいということかもしれません。タクシーは2人でも3人でも同じコストですしね。
マルタ国際空港
11時過ぎに、4日ぶりのマルタ国際空港にやってきました。結局4日間とも晴天に恵まれて、よい休暇を過ごせました。小ぶりの空港なのでだいたいの機能が集約されており、使いやすい。チェックインカウンターに大行列があるので、うわあと思いかけましたが、それはロンドン行きブリティッシュ・エアウェイズの列。私が乗るルフトハンザのほうには一人もいません。英領だった関係でいまでも英国とのあいだの流動が盛んなのかもしれません。マルタの国民は英連邦市民権(Commonwealth Citizenship)をもっているはずなので、英国人がレジャーで来るだけでなく、マルタ人が英国に向かうという流れもきっとあると思います。私の便は、ANAサイトで予約したかぎりはマルタ航空となっているのに実際にはルフトハンザが運航している模様で、コードシェア便ですね。マルタ航空は航空機を2機しか保有していないようなので、大半がコードシェアになるのでしょう。ブリティッシュ・エアはワンワールド、ルフトはスターアライアンスと航空連合が異なるため、いずれかに偏るというわけにもいかないかもしれません。ともかくANAユーザーの私にとっては非常になじみのあるルフトハンザのカウンターに荷物を預けてチェックイン。「この預け入れ荷物は東京羽田までですね」といわれたので、2度ばかりNoと強調します。たしかに、フランクフルトを単なる西船橋、じゃなかった乗り継ぎポイントとして手ぶらで動くのが主流なのかもしれないが、私は違います。I will pick up this baggage at Frankfurt Airport, this afternoon. こんな英語でいいのかな? 「今日の午後」っていうところが強調ポイントです。
あらためて出発便のリストを眺めると、ブリティッシュ・エアのロンドン(ガトウィック)行き、イージージェットの同じくガトウィック行きやニューキャッスル行き、格安ならぬ激安航空で有名なライアンエアのブリストル行きやダブリン(アイルランド)行き、ウィズエアー(ハンガリーの航空会社)のソフィア(ブルガリア)行きやワルシャワ(ポーランド)行き、トルコ航空のイスタンブール行きなど、けっこう多様。さすが地中海の交差点というだけのことはあります。アフリカ方面行きが1つもなかったのは意外で、そこは最南部であっても「欧州」なのかな。肝心のマルタ航空は、その時間帯ではカリアリ行きが1本。サルデーニャ島とのあいだに直行便があるというのも意外で、古代いらいの「島づたい」の交流の伝統があるのでしょうか。
非制限エリアにもフードコートやいくらかのショップはありますが、ぱっとしないので、早めに保安検査場を抜けて制限エリアに進むことにしました。こじんまりしたエリアですが各種ショップが充実しています。もう買い物するつもりはないですが、商品を眺めていればヒマつぶしにはなります。軽食堂というかイートインスペースを備えた売店があったので、巻き寿司(Maki small €9.80)とパイント・ビアという名の0.5Lの生ビール(€4.50)で昼食。「××をおつけしますか?」と訊ねられ、意味がわからなかったので何ですかと聞き返したら、薬味のワサビのことでした。これが€0.50。たっぷり入っており海苔巻きの量と見合っていないけれど、ワサビのない寿司はクリープを入れないコーヒー(古っ!)よりもよろしくない。寿司の味はさておき、窓越しに航空機が出入りする様子を眺めながら飲むビールは格別に美味いねえ。元来が鉄道マニアで、高所恐怖症のため航空は極力避ける人だったのに、ここ数年の欧州行脚を通して航空マニアになりかかっています。少なくとも「空港好き」ではありますね。
日本の地方空港程度の広くない制限エリアながら、搭乗口は2区画に分かれています。なぜだろうと思いかけて事情に気づきました。シェンゲン協定国に向かう便は国内線の扱いなので手前から、ロンドンやダブリン、イスタンブールなど非シェンゲン地域へは出国手続きを経て搭乗するわけね。田舎っぽい環境なのですっかり忘れていましたけれど、ここは国際社会のど真ん中でした。フランクフルト行きLH1277便の使用機材はエアバスA321。これもおなじみになりました。到着時に見たように、この空港はボーディングブリッジを備えていないので、バスで機体のそばまで行って乗り込みます。ほぼ満席の模様。
緑のマルタ → 紺碧の地中海(シチリア島) → 白銀のアルプス
フランクフルト空港には16時前に到着。ここ4年間で8回目の利用(明日には9回目!)なので、何だったら羽田よりもホーム感が出てきました(笑)。4日前の早朝5時半に着いたときは、とくにすることもないので朝っぱらからヴァイツェン(ミュンヘンの白ビール)を飲んでいます。今回はフランクフルト市内に入って1泊するので、燃料は後回しにしてバッゲージ・クレーム(機内預け入れ荷物の引き取り)へ。マルタへの往復便とも日本人家族がたくさん乗っていて、バッゲージ・クレームの場で複数の家族が「それじゃさようなら、よいお年を」と別れていたので、マルタはやっぱり在欧邦人のヴァカンス地と考えられているのだなと。空港地下駅からSバーン(近郊列車)に乗ってフランクフルト中央駅までは約20分です。ボックス席の向かい側に30代くらいの日本人の男性が着席したのですが、見覚えのある小さな紙袋を携えています。昨夜チョコを購入したお店のやつだ。――マルタでしたか? そのお菓子屋さんには私も行きました。「ええ、有名なお店らしいですよ」
――へえそうなんですね、テキトーに入りました(笑)。聞けばその方はフランクフルト駐在のビジネスマンらしく、これから都心に直行してビールを飲みますと。私のほうは地下ホームから地上に上がり、駅のまん前にあるホテルにチェックインします。市内に繰り出すのは荷物を置いてからね。
ホテル・ハンブルガー・ホフ(青いタテの看板)
そのホテル・ハンブルガー・ホフ(Hotel Hamburger Hof)は、マルタのゲストハウスよりもずっと前に、朝食つき€71で予約しています。フランクフルトに来ればここというのでもう常宿化していますね。2010年2月に中央駅の案内所で紹介されて泊まったのが最初で、2012年12月のラウンド・トリップでは最初と最後の宿泊先にしました。つごう4回目の投泊になります。レセプションで名乗るとA4判に印刷された宿泊カードへの記入を求められました。おや、もう使用していない私のメールアドレスがあらかじめ印刷されています。顧客リストに載っているのね! といっても、デジタル管理なら1回の滞在でもデータ化するのは容易なので、さほどに歓迎されているわけでもないと思う(笑)。いつもそうだけど、寝室・水まわりとも非常に清潔ですばらしい。いままでの中でいちばんゆとりがあっていい部屋でした。
2015年も残りわずか。あす30日は午前11時30分のANAで羽田に戻り、大晦日の到着なので、年内の具体的な活動というのはフランクフルトが最後の機会になることでしょう。空港からの列車で出会った兄さんではないけれど、ちょこっとでも都心に出なければフランクフルトに来た甲斐もありません。中央駅からUバーン(地下鉄)に乗ってコンスターブラーヴァッヘ(Konstablerwache)へ。目抜き通りのツァイル(Zeil)に面していることをよく承知しています。今回も持参している電源プラグのアダプタは、約6年前にこの交差点に面した電器店で急きょ購入したものでした(というかアダプタを買うためにフランクフルトに舞い込んだのです)。今回の遠征では、恒例のネクタイをまだ買っていません。前述したように、マルタにそれらしい店が見当たらなかったので、大商業地でということにしたのです。まあ自分だけの恒例行事なので買わずとも咎められるものではないのですが。
にぎわう年末のフランクフルト中心部
大手デパートのカールシュタット(Karlstadt)をのぞいてみたもののパッとしません。商品が大衆的すぎる感じ。こちらもだんだん貴族化しているのか安物には手を出さなくなっていますが、欧州の安物は本格的にダメであることが多いのです。で、ピーク&クロッペンブルク(Peek & Cloppenburg)という別の大型デパートをのぞくと、歳末大セール中で大変な数のお客さんがフロアにいました。品揃えや価格、そしてもちろん品質もなかなかだったので、いいやつと安めのやつを合わせて2本で€69.90也。セール価格でかなり割り引かれています。1本は最近でもいちばん気に入った柄のやつなので、新年早々にも着けて教室に出ようかな。
何度も来ているので、この町の中心部はヴァレッタとは違う意味で地図要らずです。旧市街のランドマークであるレーマー(Römer)を見て再びUバーンに乗り、中央駅に戻りました。これから向かう先は中央駅とレーマーを結ぶ道筋の途中で、歩いても15分くらいだと思うのですが、屈指の物騒な地区とも聞いているので用心して地下鉄ね。どの本を見ても物騒だと注意喚起してある中央駅正面のカイザー通り(Kaiserstraße)を数ブロック、都心方向に進みます。いま歩いているタテ筋はまずまず普通の盛り場ふうなのだけど、直交するヨコ筋はいかにもヤバそうな風俗街で、女性などはタテも含めて近寄らないほうがいいよ。めあてのステーキハウス、ボナ・メンテ(BonaMente)は、2010年2月にふらっと入って「あたり」だったので、2012年12月にも再訪しています。何とかの一つ覚えであることは承知で、フランクフルトはよろず定番めぐりみたいになりますね。店先に、卒業旅行の大学生みたいな日本人男女7、8名がいて、この店はどうのこうのと中の様子をうかがっています。いい店だからお入りよと余計なお世話を焼くのはやめて、さっさと入店。彼らも5分くらい遅れて入ってきました。
本年最後のディナー
本当はステーキを食べるべきところ、初めて来た6年前に注文したBonaMente Grilladas (€18.90)にしよう。メニューに小さく添え書きされた英語の説明によれば、ビーフ、ポーク、ターキーおよびラムのステーキ、ハーブ・バター、フライドポテトと野菜添え、ということです。家畜オールスターみたいなセットやね。飲み物は小生ビール(0.3Lで€3.20)。なぜ小なのかというと、これをかーっと飲み干して、肉と一緒に赤ワインのグラス(メルローで€6.90)をいただく計画だからです。店員さんの英語がごつごつしているのは以前とおんなじ。肉の盛り合わせが運ばれ、冷めないうちにというのでがんがん口に放り込みます。うんうん、普通に美味いけどこれだったら牛オンリー(いわゆる「ビフテキ」)でもよかったかな。6年前といえば長年のフリー生活を脱したばかりで貧乏旅行のクセや相場感覚が抜けなかった時期でした。肉さえ食えればよかったというわけでもないですけどね。その後に欧州へ来る頻度が上がって、食べたり飲んだりする機会も相当に増え、それなりに舌が肥えてきたというのもあるかもしれません。当時は、まさか地中海のマルタ共和国に遠征するなどとは思いもしませんでした。重ね重ねになりますが、2016年も、どうか平穏な欧州でありますように。食後にエスプレッソを頼んで、〆て€31.10也。
温暖で楽園のようなマルタから、厳冬の大都会フランクフルトにやってきて、人ごみをかきわけてショッピングして、肉食べて、こっちのほうが自分の本来のスタイルなんだよなという感じがどこかにあるのは否めません。ま、たまの楽園めぐりで気分転換して、来たる2016年の都会人生活をせいぜい充実させることにしましょうか。
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