2014 WINTER

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Part 5


 
ロンドン中華街

 


ソーホーの雑踏とほぼ地続きのような感じで、欧州最大のチャイナタウンが姿を現します。金曜に歩いたときに予定?したように、この中華街で昼ごはんを食べていくことにしよう。われながらいったんはじめると凝りに凝る性格で、春先に突如通い出した横浜中華街に、2014年はつごう27回も足を運びました。その半分近くが焼きそば。加えて8月にはパリ13区の中華街にも足を運んで焼きそばを食べています。新人王とMVPを両方とれそうな勢いだね。そんな2014年の最後を飾るのが、ヨコハマでなくロンドンの中華街というのもおもしろそう。実は奥歯がイカれて大工事を必要としたため、11月以降は横浜にもまったく行けていませんでしたが、渡英を前にかなりがっちりした仮ブタをはめてもらったので、よほど固いものでなければ普通に食べられるようになっています。


やはりここは、横浜でいつもしているように、ガイドブックにいっさい頼らず、センスに任せて、できれば小さなお店を選び、そこで焼きそばを食べよう。


 




ライル通り(Lisle Street)は、道幅は広くないものの両側に飲食店や雑貨屋など中華系の店舗が並ぶにぎやかな通り。その中ほどに、畔渓小菜(Mr.Kong)という小さな店が見えました。うん、これだな。といっても外国の中華料理の当たり外れというのは、横浜ないし日本の基準とはかなりずれますので、まずくなければよいくらいに考えておきます。広くない店内に大小8つほどのテーブルが並んでいます。大きな円卓では華僑さんらしき6人連れがわいわいと昼食中。ただ、白人の方も混じっているので、会話は英語になっています。斜め向かいのテーブルでは初老の紳士が老眼鏡を上げ下げしながらタブロイド紙を丹念に読み、赤ワインと中華料理。この時間のお客の大部分はいわゆる「英国人」ですね。まあ横浜だって日本人ばかりだしね(ただ欧米人をけっこう見かけます)。

五目焼きそばらしきものはないなあ。では三鮮炒麺(Fried Noodles with Mixed Seafood)にするか。われわれがいうところの「海鮮焼きそば」ですね。円に換算するとアホらしくなりますが、₤7.60というのは、ロンドンの食事の相場からするとかなり安めです。青島ビールを飲んでいると、すぐに焼きそば運ばれました。欧州で食べる焼きそばはたいていアンがゆるく、醤油の風味がほとんどない塩味で、麺と具とがほぼ分離しているタイプですが、ここのもそうですね。写真で見ると何だか出来の悪い食品サンプルみたいですけど、期待しなかったぶん、けっこう美味しい。具はエビ、イカ、ニンジン、フクロダケ、サヤインゲン、カマボコ?といったところですかね。食べ終わると、全員にサービスということらしく、カットオレンジとお手ふきが運ばれました。謝謝。日本人は醤油のにおいに慣れている、というよりそれを選好するのですが、欧州にはわりに苦手な人が多いのだと聞いたことがあります。下手な中華料理って、ひたすら醤油風味で素材の味を殺し、ゆえにたいてい食えるという面がありますもんね。日本人の味覚にとっては。


 
くるくる&どん!


この日も大にぎわいのリージェント通り

 セルフリッジズ


このあとは4日前とだいたい似たようなベクトルになります。今回はリージェント通りの西側には行かず、東側のごちゃごちゃしたエリアを行ったり来たり。欧州に来たときには自分用のネクタイを最低1本買って帰るという勝手なマイルールがあるのですが、今回はまだ買えていません。ウッディな外観と内装で有名なリバティ(Liberty)をのぞいてみたけれど、価格はともかく色・デザインがいまいち。いまはバーゲン期間なので、かえってまともな品がディスプレイされていないきらいはありますね。となるとオックスフォード通りを西に進んだところのジョン・ルイス(John Lewis)、ディベンハムズ(Debenhams)あたりか? でもディベンハムズは4日前にもちらとのぞいて、さっさと退散していました。

 リバティ

そうそう、前回は狭い出口からわさっとあふれ出る人の波に参って、界隈最大のデパート、セルフリッジズSelfridges)に入っていないんだった。これまでの滞在でもここに入店したことはありません。歩きながら、オックスフォード通りに面する一辺の長さがやたらと長いことに気づいていました。池袋の西武や東武は駅ビルということもあってやたらと長細く、それと比べたら大したこともないですが、ジョン・ルイスやディベンハムズがわりにこじんまりしているので、どかんとでっかい印象なのです。この日もかなりの人出で、バーゲン仕様の出入口からして賑わっていますが、まあ入れないほどではありません。メンズのフロアに行ってみるとやっぱり広く、ネクタイを売っているコーナーは北西の隅、要は入店したコーナーの対角にありました。ああここなら、安いのから高いのまで、色やデザインのヴァリエーションもなかなかです。全体として「旦那さんのものをまとめ買いしようとしている奥さん」が目立ちます。その手の若奥さんにしばしば行く手を阻まれながら(笑)、1₤70のところセール価格₤39というやつを2本ゲット。こういうのは直感にまかせるのがよく、「検討」してはいけません。なんちゃって。




地下鉄に乗って空港をめざすが・・・


セルフリッジズの前から西行きのダブルデッカー・バスに乗り込み、ものの数分でホテル近くに到達。こうしてめでたく暮れのロンドン歩きが完結したわけですが、このあと達人らしからぬ展開になったので、そこまで記しておきましょう(達人といってくれるのは同僚のA先生で、決して自称ではありません 汗)。

そもそもロンドンでの宿泊を2度ともパディントン駅の近くにしたのは、ヒースロー空港のアクセスを考えてのことでした。ヒースローはロンドンの25kmほど西にあり、鉄道でのアクセスは、パディントンからのヒースロー・エキスプレス(Heathrow Express)またはヒースロー・コネクト(Heathrow Connect)、そして地下鉄ピカディリー線が担当します。前二者は、経路は同じですが異なる鉄道会社によって運行され、エキスプレスが所要15分で₤21(車内で買うと₤25)、コネクトは所要30分で₤9.90、地下鉄は都心から所要約45分で₤5.70と、実に多様。それなのに来たときにはクリスマス運休でタクシーに乗るはめになりました(地区が西寄りなのでまあよかったわけですが)。それにしても、都心にあるわけでもなくて地下鉄やバスへの乗り継ぎを強いられるパディントン駅をアクセスの起点に設定する感覚がよくわかりませんし、15分走っただけで₤21というのもぼったくりの類だろうと思わずにはいられません。いまのレートなら成田エクスプレスにだって乗れてしまう価格だもんね。

とまあ、さようにケチるわけでもないし、けっこうな金額をかけて欧州まで来ていて、飲み食いにはさんざん使うのだし、何より鉄ちゃんとしてエキスプレスには興味がありました。だから片道は乗ってみようと考えていたのです。ところが今朝、デイ・トラベルカードを手にして気分が変わりました。₤8.90の一日乗車券はZone6のヒースローも対象地域に含んでいます。どうせなら存分に乗って(切符を使って)あげるほうがよかろう。で、ホテル最寄りのランカスター・ゲート駅からセントラル線の西行きに乗り込み、2つ先のノッティング・ヒル・ゲート(Notting Hill Gate)で環状線(Circle Line)またはディストリクト線(District Line)に乗り換え、さらにピカディリー線へという段取りになります。乗り換えを1回に減らすには、都心方向に戻って、朝早くに歩いたバンク(イングランド銀行の直下)で乗り換える手もあるのですが、大戻りですし、母と歩いた3年前にバンク駅での乗り換えでかなり歩かされた記憶があったため、西に進むのが順当と考えました。




4日前の散策でこの位置関係を承知していたことが急場の役に・・・


が、しかーし。ノッティング・ヒル・ゲート駅まで来て改札のそばまでエスカレータを上り、乗換口に向かうと、そこにとんでもないノーティスを発見してしまうのです。いわく、当駅からの環状線およびディストリクト線は年末休業につき、運行いたしません、アールズ・コート(Earl’s Court ピカディリー線への乗換駅)においでの方はバスをご利用ください、とな!! わわ!! ありえんありえん!!!!

ここはバスかと思っていったん地上に出て、バス停を探し当てましたが、次の便まで15分とかで、しかもどれほど当てになるか定かでありません。7年前、ダイアナ妃をしのんでケンジントン宮殿を外側から眺めたことがあって、そのルートをたどることはわかっているのですが・・・ よし、これはパディントンへ取って返し、エキスプレスをつかまえなければ。この調子だと普段は15分間隔で運行しているエキスプレスも間引かれているに違いありません。1便のがすと、あとが大変です。大急ぎでエスカレータを下り、都心方面行きの地下鉄に乗り込みました。そしてまた、はたと考える。パディントンへは、ランカスター・ゲートの3つ先のオックスフォード・サーカス(オックスフォード通りとリージェント通りの交点)での乗り換えになります。距離的にも時間的にもかなりロス。よしここは、ランカスター・ゲートで降りてパディントンへ歩こう!



 
ヒースロー・エキスプレス


エキスプレスの切符 右下の発券時刻を見て!


地下鉄の中でガイドブックを取り出して、地図で位置関係を再確認。たまたまですけれど、ランカスター・ゲート駅とパディントン駅の中間あたりに宿泊していたため、土地勘というか位置関係をほぼ完全に把握していたのが幸いでした。2014年も暮れの暮れになって帰国便に間に合いませんでしたなんて、ヘボもきわまるしな〜。まあ、いまは頼みもしないのに自動的に事前チェックインしてくれていますから、この時点(16時過ぎ)で乗り遅れということはまずありません。極端にいえば1830分の搭乗時刻までに搭乗口に到達していればよいわけです。ただ、ヒースローはばかでかく、しかも今回はオープンしたばかりのターミナル2ですので勝手がわかりません。

ここから帰国の途につくはずだったランカスター・ゲートでなぜか地上に舞い戻り、そこから小走りでパディントンに向かいました。ま、ものの10分もかからずに着く距離ではあります。キャリーバッグを引いているので汗がどっと出てきました。4日前、全面運休でがらんとした構内を「下見」していましたし、カーディフへの途上でこの駅を使いました(結局はここではない駅に転進したのですが)ので、自動券売機や発車案内板の位置は承知しています。まったく何が幸いするかわかりません。最短距離でボードに近づき、見てみると、やはり毎時2本に間引きされており、次は1625分、その次は55分! 現在時刻は1619分! (ちなみにコネクトは運休していました)

大急ぎでVISAを券売機に差し込み、ヒースローまでの片道切符(₤21)を手にしました。焦ってはいるけれど、カードを引き抜くのを忘れないようにしなければね。これだって券売機の操作をある程度心得ているから滞らないのであって、ここ数日の滞在の成果ではあります。窓口に並んでいたらまったく間に合いませんからね。停車中のヒースロー・エキスプレスは満員で、デッキには立ち客もかなりいます。車内中ほどの通路側の席が空いていたので、隣のおねえさんにあいさつして、座らせてもらいました。汗どーん。着席して2分くらいで発車となります。身から出たサビとはいえ、ひさびさスリリングなのを味わいました(大汗)。このアクセス列車、たしかに快適なインテリアではあるけれど、₤21の値打ちがあるかといえばやはり怪しい。「無言」が主流の欧州なのに、自動放送が延々と流れており、CMまであって、15分しかないのに迷惑な感じです。エキスプレスの正規の切符をお持ちでない方は余計に徴収させていただきます、といった注意喚起につづいて、当列車は全区間でWifiがつかえます、とありました。なるほど周囲一面スマホやタブレットをいじくっていますが、たった15分くらい間が持たないようでは社会人適性を疑います。


 
ヒースロー空港ターミナル2(エントランスと非制限エリア)


ターミナル2の制限エリア(この手前に手荷物検査場がある)


16
25分発に乗ってしまえばあとは余裕。40分ころヒースロー・ターミナル123駅(地下駅)に着きました。ここからターミナル2まではちょっと距離がありますが、入国直後にいったん地下鉄とエキスプレスの乗り場まで(そうとは知らずに)来ていますので、道順は承知しています。前回ヒースローを利用したのは、10ヵ月前に北アイルランドのベルファストからの帰路でした。ここでブリティッシュ・エアウェイズの国内便からANAに乗り継いだのです。そのときはまだANAはターミナル3を使用していました。この6月に2が完成して、ANAなどスターアライアンス各社の便はこちらに移転しています。

 

ターミナル3のときは、制限エリア(通常は出国手続きした乗客だけが入れるエリアのことですが、英国はなぜか入国審査だけして出国手続きがない。手荷物検査場を過ぎれば制限エリア!)が非常に充実していたので、新しいターミナルは余計にそうなのだろうと予想します。とっとと中に入ってしまおう。うむ、お土産屋さんも各種ショップも飲食店もなかなかだし、空間の取り方が非常にハイセンス。英国だから当然パブもあり、出国記念に1パイント(₤4.10)ぐい。


 
 
やっぱり果てしない空港だった!


ターミナル3時代のANAは、ショップなどのエリアから延々歩かされ、「ここから先にお手洗いはありません」という表示からさらに数百メートル先に搭乗口がありました。ANAにかぎらず、とにかくヒースローは「延々」の空港なのです。1年半前にリスボンからの便を乗り継いだときも、合計1km以上は歩いているもんなあ。はたして新ターミナルは、期待にたがわず(笑)、大いに移動させていただきました。ショップなどがある場所から搭乗口のあるサテライトまで、長い長い地下道を移動します。もとより動く歩道はありますが、いかに高速エスカレータ&ウォークウェイの国とて、じーっと乗っていても景色が変わりません。ま、万一遅れそうになったときには、チェックインカウンターで申告して搭乗の意思を明らかにすれば、係員が随行して最短距離で連れて行ってくれるでしょうけどね。(新自由主義の国ではそういうサービスないとか?笑)

というわけで、ロンドン歩きのメインイベントは、最後の最後、空港への移動と空港内の移動だったという、2014年の暮れでした。よいお年を。

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