古賀毅の講義サポート 2023-2024
Études sur la société contemporaine 現代社会論
|
2023年6〜7月の授業予定
6月27日 新たなヒューマン・ビジネス
7月4日 産業・労働のグローバル化
7月11日 変わりゆく産業社会とキャリア形成
本年度の授業は終了しました。みなさんのご活躍をお祈りいたします。 REVIEW (7/11) ●時代が変わり、産業も移り変わることで、個々に求められるものも大きく変わったことをあらためて知った。そのようなことも踏まえ、自分の専門性(工学)を高めていくためにも、大学の勉強をがんばりたいと思った。 ●企業にもトレンドがあり、就職時に調子のよい企業に入ったからといって、それでキャリアが安泰するとはかぎらないことを感じた。 ●将来、世界中の子どもからおとなまでわくわくするような、おもちゃの開発に携わり、人々を笑顔にしたいと考えています。今回の授業で、東南アジアや中国、インドなどの国に向けた企業が増えているというのがわかりました。多国籍の考え方をもつことが大切なんだなと思いました。 ●政治と産業が結びついていて、時代とともに職業への意識が変わっていくのがわかった。 ●日本の終身雇用や年功賃金、(非)正規雇用の問題など深く考えたことがなかったが、今回の授業で、現状やそれぞれの利点を知ることができてよかったです。 ●日本の雇用慣行を知ることはできたけど、他の国の場合はどうなっているのか気になった。
●少子高齢化やそれによる新規雇用の減少で、社会はよりAIや機械中心に変わっていくと思った。エンジニアの需要がさらに上がりそう。 ●正規雇用と非正規雇用の違いは、年収もあるが、社会保障がまったく違っていること、フリーランスは税金や社会保険などをすべて自分でやらなければならないので案外自由がないことなどがわかった。 ●終身雇用は安定した収入と雇用が得られるが、仕事をしなくなってしまうかもしれない。非正規は正規社員と比べて不平等な立場だと思った。 ●終身雇用の時代から雇用流動化の時代に変わり、自分で考えて行動することが大切だと思った。 ●終身雇用の時代は終わったので、自分の手に職がつくように、資格の勉強をがんばろうと思いました。 ●非正規雇用では4年半で辞めることになってしまうことがあると知ったが、正規雇用でもあまり長く働かずに退職する人が多いと思った。 ●非正規雇用の賃金を上げる、というのは、現状の回復にはつながらないのですか。 ●質問なのですが、個人的には自民党以外の議員を支持したい人はいますが、政党としては他のあまり好みではない議員が多く、結局自民党に票を入れがちです。しかし先生は与野党のバランスがある程度あったほうが労働者の賃金は上がるとおっしゃっていました。私も賃金は上げてほしいです。どのようにすればよいと思われますか? ●産業の高次化が進むにつれ、消費社会となり、必要な知識が増えたせいで、ニート化を惹き起こしやすくなるなど、ふるいにかけられることが増えたと思いました。もし日本から年功序列が消えて成果主義のみになったら、多少なりとも経済は好転するのでしょうか?
●私は工業高校の中で進学をめざすコースの出身だが、就職する人が多い他学科の先生に、工業高校にいるのに就職したいというのは悪だ、みたいな考えをもっている人がいた。こういう昭和モデルの考えをもつ人が、生徒の進路の幅を狭めているのだろうと思った。 ●日本人の平均寿命がどんどん上がっていき、高齢者が増えていく中で、定年の年齢が今後どこまで上がっていくのか怖くなりました。 ●大学まで行く人が増えて、それだけ能力の高い人が増えたが、大学まで行くことで社会に出たくなくなる人が増えるというジレンマを感じた。 ●グローバル化に加えてキャリアの流動化が進むことで、労働力の一極集中化が進むのではないかと考えた。 ●どこが就職に有利というデータよりも、自分に合った専門の勉強をすることが大事だということがとくに印象に残りました。自分に合った勉強をがんばっていきたいです。 ●私は大学院に進む気はあまりないが、大学院に入ったら就職した際に有利になることがあるかもしれないと思っていたけれど、それは必ずしもそうではなくて、個人の能力次第なのだと気づいた。 ●産業に関してはいままでも多くの変化があり、今後もさまざまな変化が起こるだろう。そういう変化に順応していきたいと考えた。 ●授業で紹介されたカモノハシ理論にとても興味を抱いた。いまある正解を求めすぎるのはよくない、という言葉は、これからの変わりゆく社会において重要なことだと考えるので、その言葉を念頭に学んでいきたい。 開講にあたって この現代社会論は、学部指定科目群1に属し、「人間・社会の理解」にかかわる分野として設定されています。現代社会というのは「世の中すべて」のように広い範囲を指しますので、なかなか捉えどころが難しいのですが、当クラスは産業(industry)に注目して、社会の成り立ちや近年の変化、そして近未来の可能性や課題などを考察していきます。みなさんは小・中・高の社会科や公民科で、第○次産業といった話を何度も扱ってきたことでしょう。また地理の授業では「この地域の産業の特色は」といった切り口で学ぶことがしばしばあります。大学の教養科目では、もう「試験のためにおぼえる」などという(ほとんど無意味な)ことはありませんので、授業で扱われている内容を常に自身に引きつけて、「自分たちの問題」なのだという視点で考えましょう。最もわかりやすい話としては、「数年後、大学を卒業してどこかに就職する」人が大半であるはずで、その「どこか」の話だということです。冷静に考えればわかるように、世の中は常に動いていて停まることがありません。「いま」の様態がずっとつづくはずがない。ですから「いま、いちばんイケてる産業はどこですか? 僕そこに就職します」という発想は、10年後、20年後になると話の前提自体が変わっていて、当人が損するということになるわけです。私(古賀)は、長年にわたって高校・大学で社会系の授業をもっていますが、そこで学んでいる「社会」が、自身の立っている足場であり、これから生きていく舞台なのだという感覚をもたないままでいる生徒・学生がずいぶん多いな、もったいないなと思うことがあります。せっかく学ぶのであれば、「社会の有意義な見方」を身につけたいですよね。 現代社会論という科目名ではありますが、現代といって取り扱う時間的範囲は、だいたい50〜80年くらい、テーマによっては100年くらいにもなります。これから何十年か先を見通すには、それくらいの幅をもって、社会を捉える必要があります。受講生の中には、進みたい産業分野がすでに固まっているという人もあるだろうし、まるで見当がつかないという人もあることでしょう。いずれにしても、「この分野には興味がないから、今回はパス」などと安易に考えずに、いったん自分の頭で考えて、問題をかみしめるようにしてみましょう。どんな分野に進むにしても、商売する相手は別の分野の人ですし、市場のニーズを知ろうとするなら狭い範囲に閉じこもっていてはどうにもなりません。商品開発に携わろうとすればなおさらです。たとえば、農業(第一次産業)のことは視野の外だという人が多いことでしょう。でも、農業で用いられる機械は製造業のうち機械工業(第二次産業)でつくられるものですし、農作物が流通するしくみはサービス業(第三次産業)に属します。どの分野でもそれ単体で成り立つということはありません。これから先の時代は、さらにそうした相互関係が重要になります。 <評価> |