Bienvenue à Paris !
<超主観的パリ入門 2007増補版> 実際に渡仏される方、とくに初心者の方は真に受けないでね・・・。

 

花の都パリへようこそ!!

2005年度、1年間にわたって連載した<Bienvenue à Paris!>は、おかげさまで?ほんの一部の読者にたいへん好評を博しました。熱心に読んでくださったのは、海外とくに欧州での旅行や居住の経験がある方が中心。それはそうで、書いてあることを頭の中で想像できるかどうかは重要ですものね。とはいえ、パリへ行ってみたくなりましたというコメント(お世辞半分でしょうが)を授業のレビューなどに書いてくれる学生もあるにはありました。変な話、大学の勉強とパリ(欧州)とは密接に関係しますから、在学中に一度くらい渡欧することを勧めますよ。

50回の連載で、私がいうべきことはほとんどいってしまいました。連載時にはサーバ容量の関係でセーブしていた写真をかなり増量したものの、価格や料金などは当時のままにしてあります。フランス当局には公共料金を毎年引き上げる習癖がありますので、こつこつ上昇するくらいに思っていたほうがいいでしょう。20072月現在の市内交通1回券(Ticket T)は€ 1.40で連載時と変わりませんが、10回券カルネは€ 10.90、カルト・オランジュ1週間用は€ 16.00、市内〜シャルル・ド・ゴール空港間のロワッシーバスは€ 8.50、同区間のRER€ 8.10になっています。ルーヴル美術館23- Louvreの入館料はいま€ 8.50ですが、20077月から€ 9.00に変わります。『ダ・ヴィンチ・コード』のブームでルーヴルの入館者がかなり増えたらしく、対応できんというので館員がストを実施したというニュースも最近聞きました。官民問わず、フランスはストの多いところですので(ときには高校生が授業を休んでデモをしたりする)、滞在中何かのストに引っかかるというケースもめずらしくありません。

連載時には€1=140くらいとして話を進めており、それでも「最近のユーロ高は困るなあ」というトーンだったのですが、2006年後半あたりからユーロ高がさらに加速し、私が訪れたときがほぼ「最高値」で€1=160くらいでした(その後、かなり円が戻しています)。2月における航空券の安さというのが吹っ飛びそうなレベルでした。

連載中と少し事情の変化していることをすこし述べます。

空港のセキュリティ強化について
英国以外の西欧(EU)諸国は従来から出入国時のセキュリティチェックが甘く、ほとんどノーチェックに近いのではないかと思えるほどでした。しかし、2006年夏に英国で発覚したテロ計画(未遂)をきっかけに厳重化が図られているようです。帰路のド・ゴール空港1- Aéroport 参照)では、手荷物検査場を通るのに20分以上もかかりましたし、それまではほぼ持ち出しフリーだった飲み物やシャンプーなども没収されてしまいました。おもしろくない! 私は大丈夫でしたが、女性などはブーツを脱がされていました。だんだん北米並みになってきているのかな(私の帰国直後の31日から日本からの出国時にも同様の扱いがなされることになりました)。

今後、情勢の変化はあるでしょうが、厳しくなることはあっても緩くなることはもはやないと思われます。空港へは、行き帰りとも早めに行くよう勧めます。早く行って、荷物を預けて身軽になり、無料のナヴェット(ターミナル連絡バス)を駆使して広大な空港内を「観光」しては? 久しぶりにCDG2にエントリーして気づいたのだけど、日本便の着くCDG2-Fは、他のゾーンから離れており、お店もかなり少ない。フランス国内便や欧州便がたくさん発着するABあたりのほうが、レストランやカフェ、お土産屋さんもいいのがあるよ。

20062月の訪問時にかなり出来上がっているように見えたCDG1連絡の新交通システムは、どういうわけか状況があまり進捗していませんでした。RERの駅に直結してくれれば非常に便利になるのだけど。

街頭トイレの無料化
45- Toilettesで紹介した道路上の公衆トイレは、昨年無料化されました。例のアルミ箱の上部に<Accès gratuit>すなわち無料と表示されています。空き(libre)状態であれば、ボタンを押せばドアが開きます。事後、箱ごと水洗するしくみは変わりませんので荷物を置き去りにしないようにね。ただ、このトイレはいわゆる洋式ではなく、和式に近い(便座のない)タイプですので、慣れない人はやっぱりカフェなどをあてにしましょうね。

 こんなのです

 

常宿のマダムが・・・
一般的なパリ事情とは無関係ながら、<超主観的パリ入門>としては、常宿レスペランス14- L’Espéranceの名物マダム、エレーヌさんの引退を残念に思います。レセプションに姿が見えないので「バカンスにでもいらしているのですか」と訊ねたら、<Elle est retraité.>すなわち「もうリタイアした」と思いがけない答えでした。幸い、ひょいと顔を出したマダムに直接お会いして、彼女の大好物のカステラを手渡すことはできたけれど、変わらずお元気でしたし、オーナーに定年があるわけでもないはずなのに、なぜなのだろう。オーナーゆえに早めに気楽な立場になるのかもしれません。だいたい、あの人は何歳なんだろう??

それと同時にということか、レスペランスもかなり現代化されていました。手書きだった書類関係がすべてコンピュータになっていたし、何より、レセプション横にインターネットのできる宿泊客用のPCが据えられたのが大きな変化です。日本語入力ができないのでメール返信は英語になってしまいましたが、読むのには問題なく、ITカフェまで行かずに済んでずいぶんと助かりました。でもパリまで行って、連日のように迷惑メールの削除に励むというのもねえ。

 

 

今回のパリ滞在で5年連続になります。市内に限っていえばA級の観光スポットにはひととおり行きつくしているため、新たにご紹介するべき箇所もほとんどありません。連載時には気づかなかった視点というのはあるけれど、文章を書き換えるのは無粋なのでやめておきます。初訪のスポットを2ヵ所だけご紹介しましょう。

ベルシー・ヴィラージュ Bercy Village
さいきん各種の本で紹介されることが多くなった、都心を少しだけ離れたところにあるショッピング・ゾーン。無人運転のメトロ14号線に乗ると、あっという間にリヨン駅の東の地区に運ばれます(加減速がすごくいいのだ)。終点の1つ手前、クール・サン・テミリオン(Cour Saint Émilion)で下車してすぐのところに、ベルシー・ヴィラージュはあります。何でも、セーヌ川の舟運時代にはパリにおけるワインの取引場だったらしい。その倉庫街をブティックやレストランなどに改造して再開発したものです。浅草の仲見世くらいの長さとちょっと広めの道幅で、真ん中には線路跡のようなものがあったりして、それらしい(笑)。線路はあとから埋めたっぽいが、どうなんでしょうか。

 日曜はこちらで、いかが?

ここの特徴は、日曜日でも買い物ができるということに尽きるらしい。なるほど見てみれば、パリジャンと外来の観光客らしき人たちが入り混じっています。あちらではブティック街はおとなのスポットと心得ているのか、日曜だからといって小さな子どもを連れて練り歩く人はほとんど見かけません。結構なことです。お昼時だったので、一軒のブラッスリーに入ってランチを食べましたが、美味くない上に客の扱いがぞんざいで(この手は市内にも多いけど)、がっかりしました。あとから見れば、日本のガイドブックに紹介されている「おしゃれなお店」なんですよね〜。

買い物にもあまり興味がないから(44- Shoppong参照)、とっとと去りました。好きな人は好きかもしれないけど、日本人がわざわざ足を向けるべきところかどうかは不明です。最近は日曜でも開いているお店が都心にも増えましたしね。そう、イメージが湧きにくければ、はしのえみ扮する姫さまがうきうきしながらやって来そうな雰囲気、と考えてくださいな。

 

 
(左)ベルシー公園 (右)ベルシー公園側から、対岸(セーヌ左岸)のフランソワ・ミッテラン国立図書館を望む


ヴィラージュに隣接するベルシー公園は、住宅地にありそうな公園。けっこう広いけれど、これといって特徴がなく、全体に薄汚れた感じがして、これも残念でした。ただし、このあたりはセーヌ川の土手を歩くにはもってこいで、両岸に建物が接近した都心とは異なる雰囲気を楽しめます。今シーズンはパリも暖冬で、ここを訪れた日は初夏のような陽気でしたから、土手散策を存分に楽しみました。


モンソー公園 Parc de Monceau
もう1つ、凱旋門からモンマルトル方面へ行く途中にあるモンソー公園を初訪。担当している教育原理Cの授業では例年グループ討論を実施するのですが、グループ名はいつもパリにちなんでいます。ルーヴルやノートルダムのような大物はとっくに使ってしまったため、2006年度は「公園の名」とかなり地味になり、行ったことのないモンソー公園も借用しました。事後承諾ですみません、ごあいさつにうかがいました(汗)。

この付近は右岸の高級住宅地。モンソー公園は、広さはさほどではないけれど、緑に包まれた街中の公園という感じです。

 
右岸のモンソー公園  家族連れと、なぜかマラソン族に人気のようです


園内には、古代ギリシアの遺蹟を模したようなオブジェとか、その種の変な物体があちこちにしつらえられ、おもしろいといえばおもしろいし、めちゃくちゃといえばめちゃくちゃ。花壇の設計が少し凝っていまして、西欧にありがちな平面的・幾何学的なものというよりも、立体的な広がりのあるものでした。建築だのデザインだのに詳しくないので説明はテキトーにしておきます(笑)。個人的には、なくなってしまった向ヶ丘遊園を思い出す。

公園には、1200mほどの外周路があり、土曜日に行ったこともあってか、老若男女(本当に女子中学生からおじいさんまで)のジョガーが総勢100人以上もぐるぐる走っていました。福岡の大濠公園みたいだけど、あちらは12kmなのでいいとして、この規模は目が回りそうだけどなあ。

でもね、ちょっとした公園を押さえておくと、サンドイッチを買ってちょっと一休み、というときにとてもいいですよ。

 

 

西欧あちらこちら

 

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