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à Paris ! 41-
Restaurant (2) (レストラン その2) フランスのレストランで夕食をとるとき、あらかじめ知っておいたほうがよいあちらの常識的な枠組。 ●コースメニューが基本で、お皿が1つずつ順番に出てくる。 パリのカジュアル・レストランでは、夕食のコースメニューの相場がだいたい13〜25ユーロのあいだで、日常的には15ユーロくらいを標準だと考えていればよい。ワインと食後のコーヒーまで入れて、1人あたり20ユーロくらいの計算ですね。それほどお腹がすいていないので主菜を単品(アラカルト)でいいやということもできますが、8〜15ユーロくらいはしますので、お値打ちということではありません。 アペリティフのカルディナール(赤キール)を飲みながら、料理をゆっくり選びましょう まずは食前酒(apéritif)を。キール、カシス、カンパリあたりでしょうが、カジュアルならビールでもいいと思います。アペリティフの本来の意味は「食欲をそそる」ということですので、さー食うぞという気分と場のムードを高めることがねらい。フランス人はやたらに料理をゆっくり選ぶので(1時間くらいかかることもあるよ)、間をもたせる意味もありそうですね。カジュアル・レストランではとくに注文しなくても問題ないと思います。本番のワインを先に頼んでもよいでしょうし、アルコールの苦手な人はエヴィアンなどとりましょうか(余談だけど、エヴィアンにも大小あり、日本では見かけないビンづめが出ます)。料理の一覧を記した紙を日本ではメニューといっていますが、フランス語のムニュ(menu)は「定食」、すなわち先ほどから出ている「コースメニュー」のことです。一覧表のほうはカルト(carte)といいます。英語のcard、ドイツ語のKarteに相当します。単品を意味するアラカルト(à
la carte)は「メニューから(選ぶ)」ということ。カルトをよく見て・・・といいたいところだけど、フランス語のわからない人にとっては難儀な作業ですね。私も、論文ばかり読んでいて普通名詞を知らなかったものだから、最初のころは、「これは肉なのか、魚なのか、そもそも何のことか???」と首をひねっていました。パリだと、お店の人にまずまず英語が通じるので何とかなるかもしれないけれど(お店によっては英語メニューを用意してくれています)、まあ度胸を決めて「何が来るのかお楽しみ」でいきましょうか(笑)。実は、カジュアル・レストランのメニューはどこでも似たようなものなので、あらかじめカードに書いていって単語を突き合わせればいいと思う。 いわゆるフルコースだと、オードヴル(hors-d’œuvre)、スープ(soupe)・野菜類、アントレ(entrée)、主菜(plat
principal)、チーズ(fromage)またはデザート(dessert)、コーヒーという手順ですが、日ごろそんなに食べられるわけではなく、たいていはアントレと主菜とデザートでムニュが構成されます。カジュアルはほとんどそうです。最初にアントレと主菜を指定し、デザートは主菜を食べ終えたあと注文する場合が多い。プラ・デュ・ジュール(plat du jour)という項目があったらそれにしちゃえ!
「日替わりメニュー」ですね。飲み物は何といってもワイン。もちろん大半がフランスワインですが、詳しい人(国内で飲みつけている人)ならフランス語の可不可にかかわりなく銘柄を知っているでしょうから心配いりません。何でもいいやというなら、ハウスワイン(vin de table)を頼んでしまおう。恥ずかしいことはない。地元の人もけっこう飲んでいるし、ハウスワインが美味しいかどうかは店のプライドにかかわるので、けっこう安定感があって無難なんですよ。少人数ならピシェ(pichet)と呼ばれる器に入ったものを注文できます。カルトには1/2 pichetとか1/4 pichetと記してあります。3つ下の写真で仔羊に添えられている器が1/2です。赤はrouge、白はblanc。 アントレには、生もの、サラダ、スープ、テリーヌといった類が供されます。次のようなやつはだいたいどのレストランにもありますので、ひととおり食べてみたらいかがですか。
トマト・モッツァレラ オリーブ・オイルのドレッシングとトマトの酸味が美味 ご存じオニオン・グラタン・スープ 主菜のほうは、肉料理(viandes)または魚料理(poissons)ですが、パリだと、シーフードを売りにしているところを別にすれば、大半は肉のメニュー。ある時期まで、日本でフランス料理といえば、やたらにこってりしている、むやみにバターと生クリームが用いられる・・・といった先入観があったようだけど、いまは国内でも食べる機会が増えて、そうでもないかな。基本的には肉を煮るか焼いて食べるわけで、カジュアルのところだとなおさら素材まかせに近い感じもあります。日本の食堂に醤油さしが置いてあるように、あちらでは塩・コショウやマスタードの小瓶を出されることがあり、勝手に味つけしていいんかいなと思いながらたびたび使用(笑)。主菜のほうは、代表的なメニューをリストアップするといっても大変なので、素材と、料理法の一部を挙げておきましょう。あとは勘!
今夜は定番、骨つき仔羊肉のグリル(côtes d’agneau grillées) 牛肉のワイン煮(bœuf
bourguignon) マナーがなっとらんとよく叱られる(誰に?)古賀がその件を助言するのも変なのでやめておきますね。どこへ行ってもナイフとフォークなので、もう抵抗感はなくなりましたが、いまだに使いこなせません! デザートを食べて、コーヒー(別注)を飲んだらおしまいですが、退出をせかされることは(まず)ありません。気が済んだら、店員さんを呼んでテーブルで支払いをします。ラディシオン(l’addition)というか、てのひらに指で文字を書くしぐさをすれば通じるでしょう。カジュアル・レストランなら1ユーロか2ユーロのチップ(37- pourboire参照)を置いていけば十分。セ・テ・ボン(c’était bon 美味でした)というのは、「ごちそうさま」みたいな決まり文句だけど、いちおういっておこう。出るときには<Merci, au revoir>と必ずね。 ではBon
appétit ! |
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Saint Germain des Prés (サン・ジェルマン・デ・プレ) 左岸の中心街サン・ジェルマン・デ・プレの名は、パリ司教だった聖ジェルマンに由来。プレ(prés)は「草原」で、このあたりが何もない草っぱらだったことを想像させます。早く6〜7世紀ころ、メロヴィング朝フランク王国の庇護を得てガリア(現在のフランス)におけるカトリック布教の中心になっていたようです。シテ島が古いパリの政治的なセンターであったのに対し、こちらは宗教的なセンターですね。サン・ジェルマン・デ・プレ教会(Église Saint Germain des
Prés)の鐘楼は11世紀の建造。 パリ最古のサン・ジェルマン・デ・プレ教会 繁華街とはいえ、もともとはカルチェ・ラタンにつらなる上品で文化的な地区でした。左岸を東西に貫くサン・ジェルマン通り(Boulvard Saint Germain)に沿って各種の店舗が広がっています。メトロのオデオン(Odéon)、マビヨン(Mabillon)、サン・ジェルマン・デ・プレ各駅の周辺が中心街です。オデオン駅の地上にはフランス革命で活躍したダントンの像。そこから西へ歩くと、200mくらいでマビヨン駅に着きます。このあたりの通り沿いにはカフェが目立ちます。通りの北側をセーヌの方向に行ったあたりにはプチ・ホテルがたくさんあり、日本のエージェンシーで予約を頼むとこのあたりになるかも。やがて通りの右(北)側に、教会の鐘楼が見えてきます。壁の色が何とも渋い。 教会前からレンヌ通り側を見ると・・・正面にモンパルナス・タワーが 教会の目の前は広い交差点(変則6叉路)になっていて、南へまっすぐに進むレンヌ通り(Rue Rennes 29- Montparnasse参照)が分岐。ここからモンパルナス・タワーの姿を真正面に望めます。エッフェル塔をのぞけば左岸で最も観光客が多いのがこの周辺で、カメラをもった人たちがいつでも教会前の広場にいます。教会もそうだけど、バス停をはさんだその西側の角に、最も有名なカフェ、レ・ドゥー・マゴ(Les Deux Magots)とカフェ・ド・フロール(Café
de Flore)が並んでいて、その光景がいい感じなのですね(9- Café(2)参照)。数々の芸術家や文化人が出入りしたそうで、中に入るとアンティークなしつらえで品格が感じられます。どちらからといえばこの手のスポットは苦手だったのですが、先ごろこの付近を散策していたら、すぐ横の小径にフロールのショップを発見。同店で使われているカップやフォークなどの食器類をはじめ、ノートルダム周辺のちゃちな土産物屋とは比べものにならない(当たり前だ)上品なパリの記念品が並んでいて、思わずドアを押していました。こんなにいいの、というくらいチョコの試食を勧められ、あちらのはカカオ濃度が高いため、口の中の濃度もぐわっと高まりました(笑)。美味なのでおみやげとして購入したものの、あれは表のカフェでお茶を飲ませる戦術??
通りの反対(南)側にあるリップ(Lipp)は、パリにおけるブラッスリーの草分け的存在で、間口は広くないけれど奥行きはかなりあって、いつでも多くのお客で活気があります。ブラッスリーの定義ははっきりせず、レストランやカフェとの境界線がどうもわかりにくいのだけど、印象をいえばそのにぎやかさに特徴があるといえるかな。まだパリ初心者だったころ、有名カフェの裏手あたりに1泊し、ちょっと一杯飲むかと何の予備知識もないままリップに入ったのを思い出します。そういう嗅覚はあるみたいね。 この付近からセーヌ川までは300mほどですが、小さなブティックや古書店、アンティーク・ショップなどが立ち並び、おしゃれ系のガイドブックでよく紹介される。そのせいかジャポネズたちがよく歩いています。狭い道で、なのに連接バスまで突っ込んできますから、歩くときには前後左右をよく見てくださいね。入門者のころこのあたりに宿泊したと書きましたが、実はその翌朝、これまたむやみに周辺を散歩してセーヌ河畔を眺め、よーし自分はパリになじんでここで成果を出すぞ!と気合を入れたゾーンであります(研究出張だったのね)。どことなくインテリっぽい(先入観かも)左岸に上陸したのがよかったのかもしれませんが、その付近の景観も、そして謎の決意もなつかしい。こんな連載を1年もつづけるくらいだからパリには存分になじんでいますけど、成果は・・・。セーヌ川に出ると、そこはポン・デザールとカルーゼル橋の左岸側(36- Ponts sur la
Seine参照)。対岸は巨大なルーヴル美術館です(23- Louvre参照)。本の中でだけ読んでいたスポットや地名が実感となって眼前に広がるさまはなぜか圧倒的で、その印象は今でも忘れません。 サン・ジェルマン・デ・プレ周辺は、いまでも大学・高等教育機関やそれに関連した出版社、書店、文具店、学生食堂などがあって、左岸独特の雰囲気を残しているけれど、このごろは各種ブランドなども進出してショッピング街とみなされるようになってきました。それはそれでいいと思います。もとは原っぱだったのだからね。初パリの観光客が訪れてくれるかどうか定かでないし、ましてパックツアーではまず来ないでしょうけど、これもパリ。左岸が半分あってこそ、パリなのだと体感してみませんか? |
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Saint Michel (サン・ミッシェル) シャトレ(19- Les Halles参照)からシテ島(11- Cité)を通ってリュクサンブール公園(24- Luxembourg)方向へと、市内中心部を南へ向かって行く途中、サン・ミッシェル橋(36- Ponts sur la
Seine参照)でセーヌ川を渡ります。橋の左岸側には、多くの商店や飲食店が立ち並び、昼も夜もにぎわっている。セーヌ川からサン・ジェルマン通り(Boulvard Saint Germain)までおよそ200mほどですが、観光客向けの土産物店が少しあるほかは、レストラン(40,41- Restaurant)と、児童・生徒・学生向けのショップであるジベール・ジュンヌ(Gibert Jeune)の大々的な展開によって特徴づけられる地区です。まずは同店のサイトを開いて、店舗(magasins)というタブを開いてみてください。サン・ミッシェル広場(Place Saint Michel)に面して8つの店があり、一般書やCDの売り場もありますが、人文・社会・自然科学などの専門書・学術書や大学のテキスト類、小中高の教科書・教材、文具などのショップに分かれているのがわかります。古書(livres d’ocasion)をたくさん扱っています。私たちの感覚とはちょっと違い、フランスでは小中学校の教科書なども古書を購入して学校にもっていくことが多いのです。フランスの教育を研究している(ほんと?)私は、ちょいちょいここで教科書・教材を購入していますけれど、かつての持ち主が熱心に勉強した跡や、いずこも同じ?落書きなどが残されていておもしろいですよ。あざやかなイエローがこの店のカラーで、黄色いビニールの手さげ袋をもっている青少年が、左岸には大勢いる。ジベールのほかにも、教材関係を扱う古書店がいくつかあります。 広場にあるサン・ミッシェル噴水 左岸における待ち合わせの定番です サン・ミッシェルは、文教地区カルチェ・ラタン(38- Quartier Latin)の玄関ともいうべき場所で、ゆえにジベールのようなお店が目立つのですね。このすぐ南がカルチェ・ラタンで、西に行くとほどなくサン・ジェルマン・デ・プレ(42- Saint
Germain des Prés)です。左岸のメインストリート、南北方向のサン・ミッシェル通り(Boulvard Saint Michel)と東西方向のサン・ジェルマン通りに面していて、RER-B線とC線の交点サン・ミッシェル・ノートルダム(Saint
Michel- Notre Dame)駅もあるので交通至便。メトロは4号線サン・ミッシェル駅が上記広場のすぐ西側、10号線クリュニー・ラ・ソルボンヌ(Cluny
la Sorbonne)駅がサン・ジェルマン通り直下にあり、それぞれRERには接続しているけど、メトロ相互の乗り換えは不可です。バス停の名称は京都の地名ふうに両通りの名をとってサン・ミッシェル・サン・ジェルマン。 メトロのクリュニー駅を出たあたり、サン・ジェルマン通りに面してマクドナルドが見えますので、その横から小径に入ってみましょうか。微妙にくねった道の両サイドには間口の狭いレストランが立ち並んでいます。この傾向はその先数ブロックにわたってつづき、東西方向の小径に折れても同じ。フランス料理(というか普通のレストラン)はもちろん多いのですけど、ギリシア料理やトルコ料理、そしてレバノン料理といったエスニックが目立ちます。サンドイッチ屋さんもエスニックふうのものが多いですね。ここのレストラン街は、活気があって客引きに出ている人も多いから、初心者にはいいかもしれません。パリでは例外的に早くから開いていますし、お値段も手ごろです。レストラン街を突き抜けると、古代からの道であるサン・ジャック通りに出て、橋を渡れば目の前がノートルダム寺院。つまり、ノートルダム観光の人たちをそのまま引っ張りこめる位置にあるわけで、京都でいえば(なぜか今回はこの喩えですね)祇園方面から鴨川を渡った四条河原町あたりだと思えばよいのですが、距離的にはもっと近いです。 カフェからサン・ミッシェル広場を眺めて いま一度、サン・ミッシェル橋まで戻りましょう。さすがにものすごい交通量で、ここで信号無視をするとかなりの確率ではねられそうですが、それでもパリジャンたちは果敢に突っ切ります(やめましょう)。セーヌを背に左岸を望めば、V字に分岐した道路のあいだにサン・ミッシェル広場があり、分岐点の壁にはサン・ミッシェル噴水が見えます。夕方以降になると、待ち合わせて飲みに行こうという人たち、とくに若者であふれます。
噴水のV字を右に進めば、小さな広場や細い道路に面してまたまたレストランやブラッスリー、カフェの類がたくさん。こちらはやや地元志向?かもしれません。大学生ふうのお客の飲み会に出会うこともたびたびです。いずれにしても気楽なゾーンなので、適当に飲み食いするにはもってこい。 このように、なかなか楽しい地区ですし、インテリジェンスもあるし、ノートルダムにも直近なのだけど、まず日本のガイドブックには独立した地区として紹介されることはありません。隣接するサン・ジェルマン・デ・プレや対岸のシャトレに比べるとおとなしいからかな? 初めてのパリで、左岸の裏手やカルチェ・ラタンに宿が割り当てられたら、このへんに出没してみてはいかがでしょうか。ジベールで絵葉書とCDを買って、サン・ミッシェル広場で待ち合わせて、黄昏に渋く浮き立つノートルダムを眺めて、んで気楽な夕食と。 |
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Shopping (ショッピング) 10ユーロ以上の紙幣はほとんどもたない方針(15- Euro参照)の古賀にとって、このテーマは相当しんどいんですが(笑)、多くのジャポネズにとって、パリといえば何はなくともお買い物と決まっていることでもあるし、避けては通りませんよ。ただ、ブランドのうんちくとか買い物のコツについてはお嬢さんたちのほうが会得しているでしょうから、ここでは省略。ショッピング(shopping)は、weekendやsandwichと並んでなぜか定着した英語の単語です。 洋服、靴、バッグ、アクセサリー、香水、小物類などのブランド品は、(1)目当てのお店があるなら地図を見て直行すればよいし、(2)何か買いたいということであればショップが密集している地区を歩いて、これと思った店に入ればよい。日本人が好きそうなショップはいくつかの地区に固まっているので便利?ですが、ついつい張り込んでしまう性格の人は、なるべく寄りつかないようにしたほうがよいかもしれません。 俗に「黄金の三角地帯」(triangle
d’or)と呼ばれるのが、シャンゼリゼ通り(10- Champs
Élysées)、モンテーニュ通り(Avenue Montaigne)、ジョルジュ・サンク通り(Avenue
George V)によってほぼ正三角形に区切られた右岸の一角。まずはシャンゼリゼに出向いて、有名カフェのフーケッツあたりで作戦を練って、それから三角地帯に乗り込みましょう。などと助言する前から、ジャポネズたちがそのようにいたしております。町並みが上品なので、ショップもぎらぎらしていなくていいですけど、およそ私などの近寄れるゾーンではありませんっ。一般論でいえば、パリジェンヌにとってこの地区は、相応の年齢と地位を重ねた女性のためのもので、ギャルくずれがひょこひょこ行くのはいかんらしいです。が、彼らにとってもジャポネズは上得意ですしねえ・・・。いっぽう、左岸のサン・ジェルマン・デ・プレ(42- Saint
Germain des Prés)からリュクサンブール公園(24- Luxembourg)にかけては、モード系のブティックなどが展開するゾーン。注意しないと見逃してしまうようなナチュラルな店構えのところも多いので、ゆっくり歩きましょうか。さいきん日本の雑誌などでよく取り上げられるのが、右岸のマレ地区にあって貴族の邸宅を改造したような店が並ぶフラン・ブルジョワ通り(Rue des Francs Bourgeois)や、シャトレの北側を東西に走るエチエンヌ・マルセル通り(Rue
Étienne Marcel)です。小物関係も評判ですね。 高級ブティック街フォーブル・サン・トノレ通り カジュアル・ショップがよければ、若者があふれるシャトレ界隈へ(19- Les Halles参照)。フォーラム・デ・アルを歩き回るだけでだいたい揃えられそうですし、その周辺にも小さなショップがたくさん(すみません、名前は知りませんです)。 ギャルリー・ラファイエット
(オペラ本店) 郊外のショッピングセンターも楽しいよ
(ラ・デファンスのQuatre temps) デパート(フランス語ではgrand
magasin 「大きな店」といいます)は、品揃えはまあまあですが一種の展示室のような感じで、日本のデパートのように何でも揃うということでもなさそう。ファッションでなく小物や高級食材を買うのであれば、ショップを探して歩き回るよりもデパートが楽かもね。オペラ座(31- Opéra)の裏手に、ともに老舗のギャルリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)とプランタン(Printemps)があります。1852年創業でパリ最古のボン・マルシェ(Bon Marché)は左岸のセーヴル通り(Rue de Sèvres)沿いに店を構えます。このほか、小規模のデパートというかショッピングビルが、シャトレとルーヴルのあいだのリヴォリ通り(Rue de Rivoli)沿いに林立しています。この付近は靴屋や時計屋、アクセサリー・ショップも多いので、美術館見物のあと、夕食までの時間にどうでしょうか。店頭に
Soldes とあったら「バーゲン」のことでーす。 ヴァンドーム広場 おみやげにクッキーやジャム、キャビアやフォアグラの缶詰、ワインなどをご希望の向きは、右岸のマドレーヌ広場(Place de la Madeleine)をめざそう。日本でもおなじみのエディアール(Hédiard)やフォション(Fauchon)、ワインの大チェーンであるニコラ(Nicolas)があるほか、メゾン・ド・ラ・トリュフ(Maison
de la Truffe)、キャビア・カスピア(Caviar Kaspia)など高級食材店が軒を連ねています。日本人観光客もたくさん訪れるので、あれこれ親切にしてくれることでしょう。この広場には、クリスタル・グラスで有名なバカラ(Baccarat)もあります。なお、この広場から2筋東のヴァンドーム広場(Place
Vendôme)には、シャネル、ブルガリ、ジョルジオ・アルマーニ、カルチェなどのショップがありますので、人によっては半日でも飽きないかもよ。安くて説得力のあるおみやげは何といってもショコラ(チョコレート)だけど、名店と呼ばれるお店も多いのですが、散歩しながら気に入ったショコラチエ(chocolatier)に飛び込んで買うのがいちばんいいように思います。「パリを歩いた!」という感じが伝わるじゃん♪ ショコラチエなる商売が成立し、どの街区にも必ずあるのがフランスらしいところで、フロマジュリ(fromagerie チーズ屋さん)とともに、この街の景観を特徴づけています。ちなみに、シャルル・ド・ゴール空港(1- Aéroport参照)の免税店にはあまりいいショコラが入っていない印象なので、ぜひ町なかで。 激安がお好みなら、モンマルトルのタチ(28- Montmartre参照)やあちこちに増えてきた1ユーロショップ(100円均一と同じコンセプト)で。あんがい笑えるおみやげが見つかります。サニタリーなども楽しいですね。本(フランス語が読めないとつらいでしょうが、画集や地図などはいいでしょうね)やCDはフォーラム・デ・アルのフナック(Fnac)がいちばんいいでしょう。普通のスーパーマーケットで、妙なお菓子なんかを買ってもおもしろいです。 カジュアルなお買い物も楽しい(カルチェ・ラタンにて) フロマジュリ(チーズ屋)とワインショップ まあ、あんまり身構えずに、これと思ったところへ入って、好みのものを買えればいいですね。で、いうまでもないことですが、お店に入るときにはこんにちは(Bonjour)、出る際にはありがとう、さようなら(Merci,
au revoir)を習慣づけてください。英語でもかまわないから、とにかくあいさつを(7-
Bonjour/Bonsoir参照)。無愛想に入ってきて、何もいわずにきょろきょろして、また無言で立ち去るというのは最悪の作法です。欧州はカード社会ですが、VisaとMasterが一般的で、JCBは使いでがよくないようです。ショッピングの趣味がなくても、ID代わりにカードをもっていきましょう。なお、1ヵ所で175ユーロ以上(ケースにより305ユーロ以上)の買い物をした場合には、手続きをとれば後日消費税(約20%、内税)の一部が払い戻されますので、お店で訊ねてください。古賀はそんなに買ったことないけどさ。 もう1つ、大事な注意を。私たちの感覚とは違って、日曜日はまずほとんどのショップ(デパートやショッピングセンターを含む)が閉まりますので、お買い物の計画は平日に設定しておきましょう。 |
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Toilettes (トイレ) いまさらですけど、パリ大好きです。見るもの聞くものよろず楽しいですし、洗練された都市文化のよさを十分に感じることができます。東京もこうだったらいいのになと思うことがしばしばです。・・・んが、通っているうちに、パリのダメなところもよくわかるようになってきました。日本と比べてはるかに劣ると感じるのが、トイレの問題で、簡単にいえば、使える場所が少なすぎる。国内では「どこで済ませるか」と考えながら街歩きをするということはないですよね。これからパリを訪れる方には、この点だけは念頭に置いて、計画的?に行動することをお勧めします。 トイレの表示はたいていtoilettesです(たまに英語流のWCも見かけます)。洗面とかお化粧を意味するtoiletteを、なぜか複数形にして表現するのですね。ですから「トイレはどこですか」という疑問文は Oû sont les
toilettes?
(ウ・ソン・レ・トワレットゥ?) と、be動詞の部分が三人称複数形対応(être→sont)になりますです。この文例はこのまま覚えておきましょう!
日本の感覚だと、駅や商業ビル、公共施設には当たり前のようにトイレがあり、町なかにも公衆トイレが設置されていますが、パリでは「まったく無い」こともめずらしくありません。あっても非常に目立たない。国鉄(SNCF)のターミナルは別にして、メトロの駅や郊外線の駅にはまずありません。北駅などのターミナルでも、1ヵ所だけというのが普通ですし、それも有料です。有料のトイレというのは抵抗があるかもしれませんが、それにくじけてはいけません。「どこかタダのところがあるはず」と見送って、結局後悔することもあります。いまのところ、駅での相場は、男性の「小」が0.50ユーロ、「大」と女性が1.10ユーロ。トイレ入口におばさんがいて料金を徴収するところ(「はいあそこの個室ね」などと割り振って?くれます)と、コインを投入して3本バーを回すところがあります。北駅などは後者ですが、男性用には大小2つのゲートがあり、中が完全に分離されています。このところスイス、ベルギー、オランダ、ドイツなど近隣諸国に行くことが多くなりましたが、だいたい相場は似たようなものです(小さな駅だと大小の区別がないところもあります)。 デパートやショッピングセンターでも、パリではたいてい有料。それも裏の裏のひっそりした場所にあるため、なかなか見つけにくいです。コーナーごとに設置されている日本の流儀を忘れないとね。西欧の他の国だと、こういう施設は無料というところが多いので、パリというかフランスのパターンだと割り切るしかありません。美術館などは無料が多いですけど、数がきわめて限られているのと、それすら工事中とかでクローズになっていることが少なくないのが難点。ルーヴル美術館(23- Louvre)など、超巨大な建物なのにトイレはほんの数ヵ所しかありません。で、「見かけたら利用」くらいに思っておいたほうがよいでしょう。変な話、成田空港へ戻ってきて、サテライト、通路、税関、おみやげ売り場・・・とことごとく無料トイレがあるので、「おー日本だ」と思うのだ。 歩道に設置された有料公衆トイレ 荷物をお忘れなく! 公衆トイレは、多くないけれど主要な街路に設置されるようになりました。大きめの電話ボックスないし小さめのポリスボックスといった感じの、アルミ仕様の外観で、なぜこんな真ん中にと思うほど歩道と車道のあいだあたりに建てられています。ここの料金は0.40ユーロで、10セントないし20セント硬貨を使えます。料金を投入すると、ドアが自動的に開きます。で、初心者はここから先のアドバイスを忘れないでね。最後に水を流すバーやボタンはついていません。用を足したらそのままボックスの外に出て、ドアを閉めます。そうすると、自動的に水が出てきて、箱ごと洗い流すしくみになっています。ですから「あれ? ボタンは?」と思ってハンドバッグなどを置いたまま表に出てしまうと、荷物がびしょぬれになるばかりかドアを開くために追加のコインを入れなければならなくなります。何をどう合理化したものか、まったくもって意味不明の設定で、ともかく私たちは「そういうものだ」と思って利用するしかないですね。 最も当てになるのがカフェ(8,9- Café)のトイレ。カフェの役割は飲み物と休息空間とトイレの提供だというコンセンサスがあるらしく、トイレの使えないカフェというのはまず存在しません(この点でファストフードやセルフレストランはカフェに劣ります)。トイレを借りるのが目的なら立ち飲みのカウンターバーでコーヒーの1つも頼むか(1.20〜1.60ユーロくらいかな)、あるいは「トイレをお借りできますか」と断ってそのくらいのチップを渡すか。急に催した場合は別だけれど、街歩きの合間にカフェでお茶することをパターン化して、足を休めながら(パリは石畳ふうの地盤が多く、予想以上に足が疲れます)次の計画を立てるとよい。路上で地図なんか開いてきょろきょろするとスリやかっぱらいのカモになる恐れがあるからね。で、そのときに必ずトイレを使わせてもらうようにしておくべきです。多くの場合、トイレは地下にあります。狭い階段を下りると、公衆電話とトイレがある。男性は<messieurs>または<homme>、女性は<dames>または<femme>と表示されていて、狭い空間なのに男女別というところが多いですね。男性用の小便所が妙にオープンな場合もあります。高級なカフェだと有料のところもあって、地下の入口におばさんがいるか、賽銭箱方式になっていますが、庶民的なカフェではまず無料と思ってさしつかえない。ペーパーは備えつけられています。女性トイレをのぞいたことは(当然)ありませんので様子がわかりませんけれど、男性用だと、洗面台の脇あたりにコンドームや媚薬(!)の自販機が置かれていることもありますよ。 ときどき見かける旧式タイプ ちなみにこちら向きにしゃがむのです!! 標準的なスタイルはもちろん「洋式」。水を流すとき、日本ではたいてい金属バーを押すタイプですけどそれはほとんど見かけず、タンクについているボタンを押すタイプが大半です(丸いボタンの場合と、白いタンクの広めの一角を押すのがあります)。水流がなぜか激しい(笑)。古いカフェなどでは、和式に近いしゃがむスタイルも見かけますが、いわゆるキンカクシがついていない「穴」ですので、初めて見ると、何をどうしてどこからどうするべきか困惑するかもね。で、そのスタイルだと、上からぶら下がっているひもを引っ張って流すパターンが多い。私が子どものころまでは日本でもよく見られたもので(早大の旧学生会館は最後までそれだったなあ)、なつかしい。男性用の小便器は、チューリップ型のものが大半ですが、なぜか日本のものより小ぶりで、そしてどうにも高い位置に据えられている! 古賀が極端に短足とも思えないんですけど、相当背伸びしないと用を足せん! 毎年のように訪れているので、私の行動もずいぶんスムーズになってきたと思うけど、初心者との大きな違いは「トイレで迷わない」ことかな(苦笑)。この件ではパリに対して辛口になってしまいますが、街の真ん中に閉鎖的な空間をやたらに設けるということが、国際都市ではそれなりに危険をはらむという事情はありますね。 |