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à Paris ! 6- Bois (森) 親しいパリジャンに、私の住んでいる東京についてあれこれ訊かれ、つたないフランス語で答えていたときのこと。「東京には、ボワはありますか」という質問が意外でした。Boisというのは、まあ「森」と訳すのが妥当でしょう。より大きな森はforêtというのですけれど、boisを「林」としてしまうと雰囲気が出ません。「木立」の大きなものではあるが、思った以上にでかいですよ。 欧州の大都市には、必ずといっていいほど緑地公園があります。領主貴族の時代には、狩猟をしたり、恋人と愛を語らったりしていたのでしょうね、というような、ひたすら木立のつづくゾーン。パリでいえば、東にヴァンセンヌの森(Bois de Vincennes)、西にブーローニュの森(Bois
de Boulogne)があり、いずれも市内から気軽に行ける緑地公園になっています。 ガイドブックの類を読むと、休日には2つの森を訪ねてみましょう、というようなことが書いてあるので、素直に従いました。最初に訪れたのはブーローニュ。メトロ10号線に乗ってポルト・ドトゥイユ(Porte
d’Auteuil)まで行くと、そこが森の南端にあたります。森の入口らしきところを見つけて中に入ると、たちまち深遠な緑の空間になり、なるほど空気はいい。街中の庭園と違って、造り込んでいないのがよいですね。ところが、行けども行けども森はつづきます。日本人なら、変化をつけようとしてついつい池を掘ったり建物をしつらえたりしてしまうのだろうけど、そういうのがいっさいないのです。平日だったためか歩いている人の数も知れていて、だんだん不安になってきました。困ったことに、いま自分がどこにいるのかわからない。森の中に「現在地」を示した地図がほとんどないのです。それでいて、南北方向8キロくらいありそうな広大な森ですから、いまさら引き返すわけにもゆかず、ただひたすら進むしかない(汗)。競馬好きの人なら、フランスの伝統レース凱旋門賞というのを知っているでしょう。あれがおこなわれるのがロンシャン競馬場(Hippodrome de Lonchamps)で、森の西側に見えました。競馬場がオープンしたのは第二帝政期のことで、ブーローニュ自体も、ナポレオン3世によって整備され、公園として市民に開放されたのです。 エッフェル塔の展望台から見たブーローニュの森(向こうはラ・デファンス) 物の本には、ブーローニュが貴族的で、ヴァンセンヌは庶民的だと書いてあります。何となくはわかるけど、森は森だもんなあ。ブーローニュのほうが広くて、車道もいくつか走っており、金持ちは車で森を横切って高級レストランで語らうみたいですから、そういうところに縁のない自分のほうに問題があったのかな。ヴァンセンヌの森は、メトロ1号線の東の終点シャトー・ド・ヴァンセンヌ(Château
de Vincennes)で下車。堅牢な砦という感じのヴァンセンヌ城を横目に見て、これまたひたすら緑の森を歩くのでした。何度もパリを訪れているうちに、地図をもたずに歩くことが多くなり、そのときも徒手空拳?状態だったので、いったん方向が狂うとどうにもならなくなり・・・3時間くらいかかってようやく森を脱出したはいいけれど、そこがどの方面だかわからず、適当な市バスを乗り継いだらパリ市の南を大回りすることになってしまいました。めったに行かない方面だから楽しかったけどね。ここも、ナポさんによって整備された森なのです。動物園もあるよ。 夕刻以降に森、とくにブーローニュを歩くと、それはナンパ待ちと受け取られても仕方ないそうなので、ご注意ください。女性の一人歩きは危険だけど、男性も同様だそうです。 冒頭の質問に答えようとして、さあどうしたものかと考えました。東京にもあるにはある。パリジャンとは用途?が違うけれど、それに匹敵する緑地はたしかにあります。明治神宮なんかはそう。ときどき読書しに入る新宿御苑も、予想以上に広いです。皇居や赤坂御所など、われわれが立ち入れない領域も含めれば、けっこう緑地はあるのですね。せめてそれらだけでもむやみな開発を避けられているわけで、天皇制というのは環境にやさしい面をもっているのかもしれません(と、いうのをオチにしようと思ったけれど、植樹祭なんて環境破壊そのものだもんなー)。 |
7-
Bonjour / Bonsoir (あいさつ) パリに上陸して最初に発する言葉はたいてい「ボンジュール」。入国チェックの折にそういうのですね。フランスでは、どこでもボンジュールで会話がはじまります。あいさつに対する感覚には日欧の差がかなりあり、あちらは、知り合いでなくても、単なる事務的な会話でも、ボンジュールをまずは口にするのです。極端なことをいうと、エレベータで2人きりになってもボンジュールということすらある。これは、「私はあなたの敵ではありませんよ」ということを表現するものだそうです。日本のコンビニで、レジの店員が「いらっしゃいませ」というのは普通ですが、こちらから「こんにちは」というのは少し変な感じです。もう、文化の違いというしかないですね。 ボンジュールは、佳き日になりますように!(Bon-jour)という意味の祈願文。英語でいう<Good
Day>とまったく同じ構造です。こういうのって、神様の存在を前提にしていう言葉なんでしょうね。同類のシリーズに、こんばんは(Bonsoir)、いってらっしゃい(Bonne
journée)、よい夜をお過ごしください(Bonne soirée)、おやすみなさい(Bonne
nuit)、よい週末を(Bon weekend)、明けましておめでとう(Bonne
année)、どうぞ召し上がれ(Bon appétit)なんていうのがあります。<bon
/ bonne>は英語のgoodです。 フランス語の授業では真っ先に出てくるものだから、といって舐めてはいかん。たいていの日本人にとって、無条件にこんにちは、という習慣はなく、やってみないとわからないのです。 でも、慣れてくるととてもさわやかな気持ちになります。できれば、にこりと表情もつくったほうがよい。駅でも、レストランでも、もちろんマクドナルドでも。相手が無愛想な場合も少なくないけれど、それは向こうが悪いのであって、あいさつはきちんとしたほうがいいですね。道徳教育の授業などで私がよくいうことに、企業や部活動の風土として「あいさつ」の徹底が挙げられるが、それは内輪のものに限定されることが多く、いかがなものかと。それに気づいたのは、パリへ行くようになってからのことです。見知ったセンパイなどではなく、初対面の人とボンジュールのあいさつを交わすことにこそ、公共道徳の真髄があるのでは。いい齢をしたおとなが、まともなあいさつもできないようだと、それは社会人失格になるのがフランス社会です。だから、いま東京でタクシーに乗るときでもスーパーのレジでも、「こんにちは」からはじめるように心がけています。返ってくることは稀だけど。 ところで、教育原理Cの教室では毎回「こんばんは」ではじめているのですが、夏至のころになると窓の外が明るく、こんばんはという雰囲気ではない。しかし、フランス語のあいさつの基準は「何時か」ということなので、18時であれば問題なくボンソワールになります。このボンソワールは、別れのあいさつにも頻繁に用いられます。すなわち、お店で会計を済ませたあと、昼間であれば<Merci, au revoir>(ありがとう、さようなら)というところを、夕方以降は<Merci, bonsoir>ということがけっこうあるのです。「よい夜を」というところでしょう。 ことのついでに「さようなら」についても触れます。<Au revoir>を直訳すると、「またお会いするときに」ということになりますか。中国語の「再見」とまったく同趣旨なのはおもしろいですね。パリの中華料理屋で食事をして店を出るときに、<Merci, au revoir>の代わりに「謝謝、再見」というと、同じように返してくれますが、これはお互いにフランス流を体得しているからでしょう。ホテルでキーを預けて外出するときにはお互いに<Bonne journée>ということが多く、ボンジュールと文法的には同じ(男性形か女性形かの違い)だけれど、こちらは「よい1日を」、つまり「いってらっしゃい」「いってきます」という意味になります。 まあ、あいさつなのだから、ニュアンスがわからなければ、英語でいったっていいのです。いずれにしても、声に出して表現しなければ何もいったことにならないというのが欧州のマナーです。 では、bon
travail ! |
8- Café
(1) (カフェ その1) パリの街並みを特色づけるもののひとつに、カフェがあります。たいていのカルチェ(街区)に数件のカフェがあり、奇抜なデザインや色づかいのところはほとんどないのに、それぞれ個性をかもし出しています。 カフェはカフェ。日本語に訳すことは困難です。ドトールが台頭してきたころ、あれはコーヒーショップと呼ばれ、喫茶店と区別されました。スタバあたりのシアトル系によって、カフェという名称が日本でも定着したようです。ちなみに、飲み物のコーヒーのほうも、フランス語ではカフェといいます。カフェで、カフェを飲むのが本場のありかたで、カフェでコーヒーを頼んではいけません(うそ)。飲み物の種類はやたらに多く、カウンターの中をのぞくと、さまざまな材料を手際よくブレンドして給仕に回しているのがわかる。ビールやワインはどこでも必ず置いているし、サンドイッチなどの軽食も出し、ランチタイムには本格的な料理を出してくれるところも多いです。ランチタイムに訪れるときは、紙製ランチョンの敷いてあるテーブルがお食事席、それがないのがお飲み物席だと思えばよい。 カフェのテラス席にストーブ・・・
そこまでして外で飲みたい? どこに陣取るかで価格が変わります。街路に面したテラス席(東京でオープン・カフェと英仏ごっちゃに呼んでいるやつ)が最も高く、つづいて室内のテーブル席、最も安いのはカウンターバー(フランス語でバールBar)です。テーブルはその大半が直径60センチほどの丸テーブルで、客待ちの状態では灰皿とメニューをちょこんと置いてあります。「お二人様はこちらへ」などとむやみに誘導するどこかの国と違い、基本的にどこに座ってもよい。メニューにはたくさんの品が掲載されているので、あれこれ読むのも楽しいし、すぐに注文しなくても別にかまわないのですが、まあ頼む品はだいたい決まっていますよね。私の場合、午前中はカフェ類、午後はもちろんアムステルかクローネンブール・・・。カフェで出てくるアイスクリームが好きだという女性がいましたが、まだ試したことはありません。 単にカフェ(café)といえば、カフェ・エクスプレス(café
express)、日本ではイタリア語で「エスプレッソ」といっているあれが出ます。デミタスで濃厚ですから、真にコーヒー好きの人でないと勧められません。角砂糖がついてくるのが普通で、ミルクは供されません。かなりのお店で、小さなチョコかクッキーが1枚ついてきます。カフェオレ(café
au lait)またはカフェ・クレム(café crême)と呼ぶミルク入りのほうが日本人には親しみやすいかもね。カフェを注文するときは、<Un café, s’il vous plaît>(アン・キャフェ・スィル・ヴ・プレ)とにっこり。どういうわけか、お店は「カフェ」に、飲み物は「キャフェ」という発音に聞こえるのです。<chocolat chaud>(ショコラ・ショー)といえばホット・チョコレート、つまりココアのこと。甘いのが飲みたいときにはいいですよね。もちろんコールド・ドリンクもあります。フランス人は意外にコカコーラが好きで、当地ではコカ(Coca)という。コカやレモネード(なぜか訛ってリモナードlimonadeといいます)などは、瓶詰めのものがグラスとともに供されるケースが多いです。エヴィアンやヴィッテルなどのミネラル・ウォーターも、あちらでは瓶入りがふつう。ガス入りのウォーターというのもあり、ガズーズ(gazeuse)と呼ばれます。ペリエやバドワがそうですね。東京のバーでペリエなんて頼んだら結構なお金をとられますが、パリではまずまず理性的。のどが渇いた折には、ガズーズなかなかいいですよ。 カフェ・エクスプレスをいただきましょう 冒頭で述べたように、カフェはどこにでもありますので、使い道は非常に多岐にわたります。喫茶、食事、食前・食後酒、待ち合わせ、読書、ヒマつぶし、昼寝、ナンパ・・・。そして忘れていけないのが、お手洗いの利用。パリはとにかくトイレが少なく、ほぼそのためだけにカフェに入るということが少なくありません(45- Toilettes参照)。そのペースに慣れれば、そんなもんだと思うのですが。たいていのトイレは地下で、階段を下りていった先にあります。カフェでトイレを借りるのは失礼でないから、カウンターの店員さんに<Où sont les
toilettes?>(トイレはどちらですか)と訊ね、お礼にチップを渡すか、バーカウンターでカフェの一杯も飲んであげましょう。古賀先生ならついついクローネンブールを注文してしまうが、そうするとまた別のカフェのお世話にならなければなりませんって。 |
9- Café
(2) (カフェ その2) 何ごともそうだけど、初めてひとりでカフェに入ったときにはどきどきしたなあ。「予習」はしているつもりでも、実際に何がどうなるか予想できないし、だいいち言葉が通じるのかどうかあやしかったから。連れて行ってくれる人がいるわけでもなく、間がもつかどうかも心配でした。でも慣れてくると、カフェは本当に居心地のいいところですよ。 シャンゼリゼ通りのフーケッツ(Fouquet’s)や左岸サン・ジェルマン・デ・プレに2軒ならぶレ・ドゥー・マゴ(Les
Deux Magots)とカフェ・ド・フロール(Café de Flore)などは、たいていのガイドブックに載っている名店で、たしかに内装が格段に上等だし、お値段も「名店価格」になっています(42- Saint
Germain des Prés参照)。私は国内でも国外でもミーハーな趣味はほとんどないので、カフェごときを名前で選ぶことはないのですけれど、初心者だったときに見た目の思いつきで予備知識のないままフロールに入ったことがあります。やー、居心地がよくない! ルーヴルの一角にできたカフェ・マルリー(Café Marly)もヨソゆきの感じでした。やっぱり、ごちゃごちゃした通りに面した名もないカフェにふらっと入って窓際に陣取り、ぼけっとするのがいいです。・・・と綴ってきて、パリでたびたびお世話になるカフェが何軒かあるのですが、ほとんど店名を記憶していないことに気づきました。あそこの、あの店、というふうに考えていて、看板は無視しているのですね。 カフェにもさまざまなタイプがあります。タバコ屋やLoto販売所を兼ねる場末ふうのもの(Tabacafé)もあちこちにあり、さすがにちょっと躊躇します。オープンテラスに何席か出している店だと、間口が広いような気がして入りやすい。シャンゼリゼやシテ島、レ・アル周辺など都心部の観光スポットの場合は、要するに京都あたりの表通りだと思えばよく、愛想はいいけれど落ち着かないことが多いです。シテ島のノートルダム寺院界隈には、フランス語以外の言語を話す客ばかりの観光カフェがいくつかありますが、ごちゃごちゃしているし、お手洗いが有料と強気だったりで、あまり感心しません。 ところで、ロンドンのパブめし、パリのカフェめしという言葉があって、カフェでは安直な昼食を食べることができる。肉料理などをランチタイムだけ供するところはもちろんだけれど、サラダ類やオムレツ、ソーセージ、サンドイッチなどの軽食なら食べられるところが多いのです。ただし、軽食といってもカフェめしは量が多いし、お値段もそれほど安くないので、本当に安直なのがよければ売店のサンドイッチにしましょう。でも、窓際に向いた一人がけのテーブルについて道行く人たちを眺めながらフォークを使うというのは、なかなか悪くないですよ(ガラス窓の外で作業員たちがにわかに道路工事をはじめ、その一部始終を見ながら食事する羽目になったこともあるけど!)。贅沢は承知で、アペリティフのビールから赤ワイン、食後のカフェ(エスプレッソ)までじっくり味わうのも楽しみです。パリのレストランには一人で入りにくいという重大な欠陥がありますが、昼間のカフェめしは、その点で気楽。 ある年に渡仏した折、常宿ちかくのレ・ゴブラン(織物で有名な地区)にあるカフェで昼食。このカフェは場所がいいので何度か読書に使っていたのですけれど、食事は初めてでした。お薦めのポークのコンフィを頼んだら、超うまーい。値は張ったけどね。どっしりとしたコート・デュ・ローヌ(リヨン付近で産する赤ワイン)をぐびりと。 ソルボンヌ広場のカフェ なぜか毎回ここでお茶しているなあ 名門パリ大学の「ご門前」たるソルボンヌ広場には、書店と並んで数軒のカフェがあります。どの店も一度は入ったのではないかと思いますが、客層が明らかに学生や学者ばかりでインテリジェントな雰囲気です。ひとりで本を広げて読んでいる学生も多い。何を話しているのかよくわからないけれど、どうやら口角泡を飛ばしている若者もいます。この付近のカフェは、間口が狭くて奥行きのある「うなぎの寝床」型が大半ですが、私もインテリ仕事をしているためか、そのごちゃごちゃ感が何とも落ち着きます。そういえば、その付近ではなぜかビールに手を出さず、カフェを飲んでいる私でした。 |
10-
Champs Élysées (シャンゼリゼ通り) ♪オー・シャンゼリゼ〜 パリといったら誰でも思い浮かべる景色といえば、エッフェル塔か、凱旋門(2- Arc de Triomphe)を正面に望むシャンゼリゼ通りの図か、ですよね。7月14日の革命記念日のパレードはここでおこなわれますし、ツール・ド・フランスの最終コースもここです。先日は、パリ五輪誘致運動の一環として、トラックやコートやプールまでも通りに特設してイベントをやっていました。パリジャンにとっても「目抜き」としての象徴的な意味をもつ場所のようです。シャンゼリゼというのは「エリゼの原」といった意味ですが、大統領官邸のエリゼ宮(Palais Élysée)がここに隣接してあるということに、日本人観光客はなかなか気づきません。シャン・エリゼがリエゾンしているせいかな。 コンコルド広場からシャンゼリゼ、そして凱旋門を望む シャンゼリゼ散歩を、東端のコンコルド広場(12- Concorde)からはじめましょう。ルーヴル美術館をはるか後ろに歩きはじめると、広い道路の両側に、けっこう広いグリーンベルトが現れます。かなりの自動車が往来するので落ち着かないけれど、緑というのはいいよね。やがて左手に、プチ・パレ(Petit Palais)、グラン・パレ(Grand
Palais)という2つの建物が見えます。小宮殿、大宮殿と訳せますが、1900年の万博のパビリオンとして建設されたもので、現在は美術館・博物館(プラネタリウムもあるよ)になっています。両パレのあいだを抜けてセーヌ川を渡ると、アンヴァリッドまで一直線です。私たちはそのまま西へシャンゼリゼを歩きましょう。グリーンベルトが途切れたところを左折すると、ブランド通りの異名をもつモンテーニュ通り(Avenue Montaigne)。思想性の高い通りの名と関係あるのかないのか、グッチ、ニナ・リッチ、シャネル、ディオール、プラダ、フェンディ、ブルガリ、ヴァレンティノもあるよ。入門者だったころ何の予備知識ももたずにここへ迷い込み、思わず「うわ〜」とうなってしまったことがあったな(44- Shopping参照)。 凱旋門側からコンコルド方向を見る モンテーニュ通りが左に分かれるあたりから上り坂がはじまります。緩やかだけど、距離があるのでけっこうきつい。両側には、ブティックやカフェ、映画館、書店などが並びます。まあ銀座だと思えばいいかしら。テレビなどでご存じでしょうけれど、シャンゼリゼは道幅が広いので、銀座以上にゆったり感があります。そのうち、左側にルイ・ヴィトンの本店が。ここしばらく改築中だったけれど、どうなったかな。改築中は建物の覆いまでヴィトンの模様で、記念撮影する人たちがたくさんいました。ヴァージン・メガストアやフナックなどの「定番」もあります。外国人の姿が多いのも特徴です。コンコルドから2km弱、坂を登りきったところがシャルル・ド・ゴール広場と凱旋門です。お疲れさま。ぜひ振り向いて、コンコルドのほうを遠望してみましょう。うっとりするくらい、いい景観だよ。 カフェ・フーケッツ(左)とルイ・ヴィトン本店 んが、しかし、私はシャンゼリゼがどうも苦手なんですよねえ。 これぞパリ、というのがわざとらしく思えるのかもしれない。初めて訪れたとき、シーズンもよかったせいか、ジャポネズ(日本人女性)だらけで辟易した悪印象が残っているというのもあるかな。自分だって日本人だし、限りなく観光に近いわけだから、勝手な見解ではあります。でもねえ、ヴィトン本店に行列するジャポネズなんて、あまりいい光景ではないですよ(そこを逃げるように立ち去ったあと迷い込んだのが、前述したモンテーニュ通りだった。うへえ)。金持たずにはブランドなんて無縁ですしね。 そんなわけで、一時期は「シャンゼリゼなどビタ1mたりとも歩くものか」などとうそぶき、本当に近寄らなかったのです。よく考えると敵意をもつほどの話でもないので、2004年・2005年・2006年と連続して、ちょっとだけ歩いてみました。でもやっぱりなじめないなあ。パリジャンは右岸でお金を使い、左岸で頭を使う(ソルボンヌなどのある文教地区だから)などといいます。シャンゼリゼは右岸。私が拠点にしているのが左岸ということもあって、どうもシャンゼリゼは「よそ」に感じられます。好みの問題だから仕方ないか。 さはさりながら、そこを歩くときに鼻歌で出るのは、どうしたって「オー・シャンゼリゼ」なの。 |